■ 005 俳句作りのキーワード、検証■
●自分が入っているのか?
私が、心太さんに、俳句の添削を受けていたときに、 『この俳句には、自分が入っていないね』と、注意されたことがありました。
どういうことか、その時には解らなかったのですが、先達の俳句を読んだときに、それは理解できました。
俳句は、基本的には、自分の事を詠むのです。
事象描写という句も多くありますけど、そういう事象の中に、さりげなーく、俳句の読み手が入っていることも多いです。
逆のアプローチもできます。
『俳句は、自分の事を詠んでいる』のだとすれば、
何の俳句か解らない場合には、まず、その俳句の中に、『詠み手本人の説明を省略している』というアプローチで読んでみるということです。
『作者自身の事を詠んでいる俳句』という原則を持って俳句を拝読すると、納得の句がゾロゾロとあります。
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追記 2020.8.
「去来抄」・「猿蓑」という、俳句の添削本の一部を、ご縁があり拝読致しました。
(リンクが雑でスミマセン、ネットに落ちているはずなのでご自身でも、探してみてください)
去来抄というのは、芭蕉の弟子、去来が、芭蕉との俳句問答をまとめた俳句の指南本です。
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芭蕉は、自身では俳句の本を書きませんでしたが、弟子たちに俳句の添削例などの問答を記録した指南書を出版することは認めていて、その中でも有名な書籍です。
芭蕉が、お弟子さんたちの俳句を、どのように添削したのかという実例を通して、俳句というのは、どういう方向性に添削を進めればよいのかということを、芭蕉自らが示した。
と考えるべきで、
この、「自分を俳句に入れる」とか、「動く・動かない」などの推敲の実例などが書いてあります。
ヨカッタら、読んでみてくださいね。
この話は長くなりますので、別ページでも、解説しています。(*゜▽゜*)ノ
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センセも、アタシの天然振りを知っていて、去来抄だの猿蓑の話をくどくどすると、俳句がキライになっちゃうっていうご理解の上、カンタンなキーワードだけ投げて下さったということだろうと思います。
なので、この「俳句のキーワード」というのは、芭蕉の俳句・俳句の推敲の進め方の基準になっている、重要事項って覚えてくださいね。
アタシの個人的な意見とか、センセの思い付きではないんですよね。
アタシは、もともと、俳句に対する理解も浅く、勉強時間も、多分、これをお読みになっている人の中で、一番短いですが、センセがアタシに、このキーワードを投げてくれ、考えるチャンスを与えて下さったことで、自分の俳句は大きく成長できたと思っています。
要するに、「俳句に自分を入れた方が良い」という指導は、芭蕉経由ってことだとメモしておいてください。
●自分が入っているのか?
『笠も漏りだしたか』山頭火
自分が省略されているということを考慮に入れて読むと、
『笠も、(自分も、)(ヘタって、)漏れ出した』
という俳句なのです。
へぇー。(20へぇ)
●自分が入っているのか?
『咳をしても一人』 放哉
またこれなのぉ?なんて言わないで下さい。
この場合も、『私』が省略されています。
当然に、咳をしたのは、自分なんです。
だから、省略していいんです。
優れた俳句には、瞬間も、感情表現も、自分も入っているのに、誰よりも短い文字で表現されている俳句なんです。
だから、この句が、有名なんっす。
●自分が入っているのか?
『雨ふるふるさとは はだしであるく』 山頭火
歩いているのは、山頭火です。
俳句は、基本的には、自分の事を詠んでいる。
だから、(短い文字数で完成させるため、自分のことは、)省略するのは当たり前。
っていうところです。
この辺、俳句を読むときのキーになります。
●自分が入っているのか?
『すさまじく蚊がなく夜の痩せたからだが一つ』 放哉
文字だけ読むと、誰の体なのか解らないですよね。
そういうときは、まず、詠み手のことを俳句にしていると考えましょう。
ひょっとしたらそうじゃないかもしれません。
でもまあ、俳句を読んでいく手がかりにはなりますよね。
何言ってるのか解らない句も多いですけど、『自分を詠んでいるんじゃないか』という筋から、もう一度読み直してみる。
考えるのを辞めたり、読み飛ばしたりするのが一番ダメですね。
何万個もあった俳句の中から、先達が自分でこれを選んだんです。この俳句を残しておきたいと考えて、他の俳句を落としても、この俳句を残した句なのです。
本人が、この俳句の中に、自分なりの基準で、
優れた点を見出しているからに他なりません。
それが何かを探す。
これは、自分の句作の力がつきます。ホントです。
意味の解らない俳句の中に、優れた点を見出す作業。
そうです。この俳句の中には、何かが隠されているんです。
うっひょー。宝探しゲームみたい。
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