しゃぼんだま あおいそら 
(ブログ by 芸術家 おじゃら りんご)

 

◆ 5996 ★ 鏑木清方展-5 ◆

2022.4.12.

セーラー服の絵。

昭和サロンのマスターがそう呼んでいた絵は、岩崎家が、宮内庁に献上するために、清方に頼んだ一双の屏風絵のこと。

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左隻には、震災で船上生活者となった母子の風景。背景には朝霧に包まれた清州橋。

右隻は、遠方に江戸城が見え、城壁の見える広場で、セーラー服の女性が二人配置されている絵だ。

どちらも、春を感じさせる仕上がりになっていて、色々な困難もあるが、それを乗り越えて、日本にはまた春が訪れるというようなストーリーらしい。

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この絵の前には椅子があり、私は、会場をウロウロしては、ここに戻ってまた、お作品を鑑賞させていただいた。

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屏風のバランスとしては、並べて展示すると、ちょっと違和感があるんだけれども、清方先生の強い意志(殿下に、苦境に立たされた国民の貧困を、絵で伝えるという行動)に本当に感動した。

長らく見ているうちに、涙がこぼれそうになってしまい、自分でも驚いた。

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依頼したとき(昭和三年)から納品まで2年もかかっていたという解説があったからね。

もしかしたら、左隻は、別な絵があったのかもしれないけれども、こちらに差し替えたのかもしれないな。

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清方のアトリエも震災で全焼し、出世作も全部消失してしまったのだそう。

復興するといっても、それは、格差が大きく表に出てくるわけで、下町に長く住見続けている清方にとっても、近隣全部焼け野原だろうからね、辛い時間だったと思う。

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別な絵の解説に、清方は、若い時には、裕福な層の人たちと、貧困層の人を同じ絵に入れるような画風だったとあった。

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そういう意志は、大作には良く感じられる。

庶民を描くという目線が、清方芸術の哲学なのだ。

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その他、大衆も絵画を身近に楽しめるような時代にしたいという強い意志を持ち、複製絵画の販売などにも力を入れたらしい。

なるほど。

だから有名なんだよね。笑。

絵の露出に積極的だったわけだからね。

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貧困層の人をあえて絵の中に混ぜるという考えが、いつの頃からか、歌舞伎や、物語の世界に入って行き、そういう絵に傑作が多い。

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先生の本意は最後まで分からないけれども、私的な分析をすれば、「絵というものは、飾る物を幸せにする効用を伴う」

という「身近な美術鑑賞」を推奨するときに、自分が貧しいことなど、思い出したくないもんね。

ホンモノは買えないけれども、大衆が複製品を購入するという流れを作るときに、現実を思い出させるものを排除する方が、より広く浸透できるという風に考え(絵のコンセプト)を変化させていったんじゃないかなと思える。

昔なら、浮世絵を集めたりとか、かんざしとか、食器、着物がアートだからね。笑。

明治期、震災、戦争などがあり、着物が日本人の日常生活から消えてしまったことは大きな文化の喪失だったと思う。

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そんなこんなで、勉強させていただきました。

(*゜▽゜*)ノ

いやー。久しぶりに、ちゃんとした絵を見たという感じで。笑。

ちゃんとした絵を見ると、感想も、こんぐらいのヴォリュームになるって話だわー。

皆さん、是非是非、足を運んで下さねー。

 

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