知人から頂いた古い油彩額の中に、人魚の絵があった。

どうやら、外国の人魚像の写真を絵に描いたもののようだったが、ブロンズに、背景が夜だったため、全体的に暗かった。

夜はまあいいとして、人魚は、生身の人間に近い形にすべきだろう。

と思い、人間になった人魚姫としてリメイク。

そんでもって、髪の色は金髪にし、ただ座らせているだけというのは、どうにも芸がないので、笛を吹いているという、静やかな動きを加える。

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人魚姫の物語を思い出せば、人間の王子様に恋をした人魚姫が、海中の魔女に頼んで、人間のような足をつけてもらうのと引き換えに、美しい声を魔女に渡してしまうというものだつた。

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ようするに、彼女は、話せないけれども、その代わりに、美しい音色で音楽を奏でて、王子に見染められようとした。

という筋書き。

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王子は結局、別な国の王女と結婚してしまい、人魚姫は恋に破れ、海の泡となってしまった。

という切ない物語。

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海の王子というのは、いなかったのかね。

と思いつつの。

悲恋にするのか、ハッピーエンドにするのかは、作家の裁量ではあるが、ハッピーエンドのストーリーだったら、こんなに人気が出なかったのかもしれないとも思う。

読後の感想というのは、複雑である。

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という事情から、笛を吹いている人魚姫の絵になりつつある。笑。

こういう、巻き込まれ型の創作というのも、不思議でヨイ。

別に、何かを描こうと思って、絵を書くことは少ないからである。