バリ島 ★ぶうげんびりあ (HTML版)


◆◆◆ 023 / 偽ガーデナーと呼ばれてゐる ◆◆◆

偽ガーデナーと呼ばれてゐる

バラを育てるには、日照最低八時間。

しかし、マンゴーやナンカの大木がある我が家では、四―五時間日が当たるのがやっとなのだった。

一昨年、十本買ったバラの苗は、今では四本に減ってしまった。

理由は、植えた場所が、木の下だったので、木を伐採したときに、下敷きになって死亡したものがほとんどである。その他にも、虫にやられたり、水はけが悪くて死去したりしたのだった。

しかし、残ったバラは強かった。

かろうじて生き残った四本も、もう二年も栽培しているのに、なかなか大きくならない。

地植えにしていたので、雑草や下草に邪魔されて、根を大きく張れないのである。栄養も雑草に横取りされている。土がもともと、粘土層なので、水はけも悪い。日当たりも悪いので、なかなか大きくなれなかったのだと思う。

大きな素焼きの鉢を買ったアタシは、早速鉢に土を入れる。しかし、土だけでは水はけが悪い。大家さんが、修理用に大量に買っている砂を、こっそり失敬する。

前の木彫りの職人が、チェンソーで出したおがくずを、オジジ様が敷地内に運び込み、大量に保管しているのだが、これも失敬する。おがくずは、雨に濡れて長期に放置されているので、下の方はすでに、腐葉土状態。ガーデンセンターで買ったら高い品なのだ。 

ゴミ置き場から、庭までを何度も往復しながら、『土、砂、おがくず、ゴミを燃やした灰』を交互に鉢に入れ、よく混ぜる。なんか、久しぶりに運動しているという気持ちになる。

次には、バラを土から救出しなければならない。案の定バラの根元の土は、雑草でカチカチになっていた。

『おおっ、これでは、育ちようがないわよね。ゴメンネ。』

日ごろの愛情不足を一気に解消しようと、バラに話しかけたりもする。ガーデナーは忙しい。

二日掛けて、四本のバラの花を根元から脱出させ、鉢に植え替える。今日食べたエビの殻とか、猫が食べない魚の骨なども、土に混ぜる。

本来であれば、鉢に直接混ぜるべきでは無いのだが、鉢は大きいし、熱帯なので、どんなものも直ぐに分解されて、土になってしまうのだ。

『有機物を鉢などに混ぜてしまうと、有機物を分解する微生物が増えてしまい、一時的に、土の酸素が少なくなって、植物の生長が悪くなってしまう』などと本には書いてあるが、今までの環境よりは何百倍もマシであろう。

細かい事は気にしてはいけない。カルシウムは、植物にも必要なのだ。土に混ぜないと、カルシウムを食べるアリに運ばれてしまうし、乾燥させている間に、ハエなどが大発生してしまうということもある。土を作って、後で交換するというのは、面倒くさい。

このようにして、鉢に植え替えられた後も、我が家のバラの花達は、アタシのメチャクチャなガーデニング理論に、鍛えられているのであった。バラも、日々精進。

あ、種まきする予定で、鉢を買ったのにな。全部バラになってしまったわ。うーむ。

『急募:鼻毛の鉢売りオヤジ、全部買うぜっ。』

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