◆◆◆ 1495 ★ ギャラリー山口さん閉廊する  ◆◆◆

2010.2.1 更新

知人のダイハード君が、BBSに書き込んでくださって、その旨を知ることとなる。

あそこは、アタシの巡回コースに入っていて、ヤマグチさんのビルと、地下、隣の地下、二階、三階は流すことが多い。

おおむねコンテンポラリー系が集まっているエリアでもあり、村上さんを除けば、まあ、筋は通っている。

アタシは、村上さんでしか買い物はしたことなかったけど。

ヤマグチさんでは、1つだけ、

「ダラー」という、菊池さんという方の作品を購入したことがあった。

人体針金に、1ドル札が何枚も巻きつけられている作品。

それが、1000円札の上でサーフィンをしているという作品である。

店頭価格は10000円で、アタシは、長い間、そう、最低でも40秒はそこに立ちすくんで、作品に引き込まれてしまう。

どんな展覧会を見に行ったって、40秒も、わけも解らず引き込まれるということは少ない。

よっぽど巨大だとか、よっぽどキモチ悪いとか、何が書いてあるのか解らないとか、細密すぎて、理解するのに時間がかかる。

という作品ではない。

笑うしかないというキモチでイッパイになり、10000円というお値段なのに、なんで買わないんだ。

次なる思考はそう考える。

そうして、すぐに、オフィスのスタッフに声をかけて、これくださいと、購入手続きをする。

オーナーらしき山口さん風の女性と、スタッフの人は、この作品について説明してくださる。

アタシは、持ち合わせていたお金を内金に入れ、次にまた回収にきますとその日は帰る。

そうして、次の巡回のときに、残りのお金を払い、お品物を回収。

山口「この作品は、作者が、お札が、長い時間かけて、まっすぐになろうとするため、針金から落ちたり、造詣が変わったりしますけど、いいですか?」

彼女はアタシに念を押した。

アタシは、買うときにはそこまで考えていなかったが、全く問題は無い。

オジャラ「ああ、それじゃ、アタシ、勝手に造形変えちゃってもいいんっすかね?」

随分と懐の大きな作品だとおもいながら、ホクホクして帰ったのだった。

あの作品は、アタシのギャラリーに常設展示されており、見る人はみんな引き込まれる。

しかも、あいだみつをさんの、小さい書の切り抜き「アレもコレも欲しがるなよ」という作品をケースの中に入れている。コラボだわぁ。

新鋭の若手現代アーティスト君たちは、「人の作品にそんなことしていーんですか?」とか、「ピッタリマッチしています」など、おのおの勝手な話をして、いつまでも、その作品のことは忘れないでいるのである。

現代アートの解説にはピッタリの作品なのだ。

ヤマグチさんのHPを拝見すると、1/30で閉店とある。

画廊というのはあっけない。オーナーさんが亡くなられて、それで、すぐにギャラリーは閉廊となってしまったのだそうだ。

そうだよなあ。彼女が声をかけないと、出展してくれる作家さんなど皆無だろうし。

画廊主というのは、誰でもができる職業ではない。

HPには、作品ファィルやポートフォリオなどを見せてくださいなどと書いてあった。知らなかったよ。

アタシは、自分の営業という目的で画廊を回ったことは無いので、まあ、よければ買うし、あとは、勉強や新しいアートの情報を仕入れるという目的で回っているワケで、あそこの作品は、いつも巨大で、買えそうもないよなというお値段の展示ばかりで、そのことにも驚いていた。

売る側と、買う側、描く側の温度差というのは、実は大きいのである。

100号だから200万円ってこともないだろう。

内心はそう思いつつも、そういう展示ばかりが続くので、いくつかは売れていただろうって類推でき、そこが画廊の奥深さだよなあと、アタシも、ビジネスモデルを学んできたということになる。

有名大学だとか、海外留学したとか、そういう話は、作品鑑賞にはまったく必要が無いということになり、作品を見て、ココロが動かないのであれば、それは、作品が悪いのである。

長いこと若い作家さんを育て続けてきた山口さんのご活動に敬意を表し、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

おじゃら画廊

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