◆◆◆ 1366 ★ 椿とさざんかをもらう ◆◆◆

2009.7.9 更新

今日は、JIAの審査員が来る日なので、ギャラリーを開ける。

途中の大きな家で、植木職人さん風が、休憩をしていた。

横には、大きな、目の詰まった木材が2本。

小口木版に使えないかしら。

木彫もやってみようとおもっていたので、職人さんに、木をもらえないか申し出る。

職人「何に使うの?」

オジャラ「仏像を彫りたいんです」

職人「どんぐらい?」

オジャラ、「じゃ、これぐらい。」

職人「今切るからさ。」

オジャラ「えーっ、切ってくれるんですかぁ。今、ノコギリ、買ってきたところなんですよね」

職人「いくらかもらえる?」

オジャラ「んー、そんじゃ、300円」

ここで笑。

アタシが着物姿に日傘だったので、

職人「お姉さん、職業はなに?」

オジャラ「ああ、芸術家志望。まだ売れてないんだけどね。拾ったモノでイロイロ作ってるんだよね」

職人「あはは。都知事にお願いしろよ。芸術活動にあんなにお金使ってるんだから」

オジャラ「都の芸術家支援はね、年齢制限があってね、アタシ、落ちちゃうんだよね。ホント、アタマにくる」

という会話。

オジャラ「ところで、これ、何の木?」

木を切り終わった後で、植物が何なのかを確認。

職人「椿とさざんかだよ」

オジャラ「へえー。椿とサザンカかぁ。」

その太さに仰天。

ひょっとしたら、40年というよりは、もっとかもという太さ。直径8センチはある。

うっすらと銅錆色に変色した木地も美しく、こんなステキな木を切ってしまうなんて、何てバチアタリなんだとおもわないわけにゆかなかった。

オジャラ「根っこも捨てちゃうの?」

職人「うん」

オジャラ「植えたら、つくかな?」

職人「今切ったばかりだよ。根が大きいからね。庭があるの?」

オジャラ「うん」

職人、「こんなに深く掘るのは難しいよ」

オジャラ「大丈夫。大きなバスタブをプランター替わりにしていて、そこに、薔薇が植えてある。」

職人「そこに植えるの?」

オジャラ「育つかな?」

オジャラ「この前ね、白洲正子さんのご自宅を見学に行ったんです。」

職人「白洲次郎さんの奥さんだね」

オジャラ「そうそう、白洲邸です。質素なたたずまいですけどね、庭に、椿の花が100種類ぐらい(←、ちょっと大げさだったかも植えてあって、本当にステキでした」や?植えてあって、本当にステキでした」

職人「立派な人だったよね」

オジャラ「今時、椿100本って、贅沢っすよね。笑。前から、1本でもいいから欲しいと思っていたんです。この苗木を買ったら、高いですよね?」

職人「こりゃ、高いよ」

椿は花期が長いし、一輪挿しなどにするだけでも、辺りが華やいで、ほんのりと良い香りがする。

オジャラ「この木は、何で抜かれちゃったんですか?」

職人「他の植物を植えたんだよ」

オジャラ「お金持ちのやることって、庶民には信じられないっすね。」

職人さんは、きり口が腐らないように、何らかの殺菌剤を塗ってくれた。

アタシが300円払うと、「要らないよ」などと笑っているので

「タバコ代ですよ。気持ち気持ち。」と置いて来る。

その足で、アトリエのバスタブに植えてみるが、土が不足。

植え替えの時だけは、新しい土を買わないと、腐る。

そうして、天高く、薔薇が咲き乱れていて、ああ、ここにあっても、アタシは、咲いたことにも気づけないと思いながら、それらの植物を、自宅に移すことを決意。

よーし。今日は、頑張って、薔薇も植えるぜ。

四季咲きの薔薇は、いつも勝手に咲いては散っている。

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