◆◆◆ 1104 ★ 職場体験-2 ◆◆◆

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2008.3.11.更新

中学生であるということもあり、長時間の創作には飽きてしまった子もいた。

適度に休憩を取ってねと伝え、様々な話をしながら、絵を書き進める。絵を描き始めたころに、アタシは、創作のコツを伝える。

オジャラ『世の中にはね、シュールレアリズムという考え方もあるの。

それはね、現実には有り得ないことを絵に描くことなのよ。

たとえばさ、犬が口から飛び出てくるとか、頭の上に植物が生えるとかね。

そういう、変な作品のことよ。

だからさ、キノコに顔があるとかね、カメのクチからリンゴが飛び出てくるとかね、そういう話よ。』

少年B『キノコには、手をつけようと思っていました』

また飽きてくると、今度は、オシオッサさんのビニール袋に入れた息の作品の現物を見せたりもする。

みんな一応に、『へぇ』などと驚きながら、『それは売れたことがあるんですか?』などという全うな質問もしてきたりもする。

作品は、順調に描き進んだ。

少年Bのキノコは、ボディの色を思案中という理由で、塗られていなかった。

『まあ、塗らなくても面白いかもね。地の色が見えてさ、見た人は、絵がまだ途中と思うかもしれないしね。』

それから、3つのキノコには、ミッチーとかボビーなどという名前が無事につけられた。

オジャラ『名前はさ、カンバスの裏に書いておかないと、あとで忘れちゃうからね。絵はヘタなのは仕方ないけど、キノコの名前で笑い取れるから、ヨカッタね。サインと今日の日付を書き入れてね。』

少年AとCも、それぞれ、自分の作品に名前をつけていたようだった。

時間がきて、みんなの作品を並べて、ささやかな鑑賞会を開く。

『英語とパソコン頑張ろう。まず、金をある程度稼げる能力を先に身につけてね、絵は、その間コツコツ描いていれば、いつか、自分の絵になる日が必ず来るからね、料理も頑張ろう。』

などと、いう具体的な指示。

中学生というのは、子供ということでもないなと思う。

大人ではない。

それは、金銭的に、稼ぐことができないので、経済活動という意味で、子供なだけである。

カウンセリングの勉強会に入っていたときに、少年非行が、中学生の方が多いという問題について話し合った。

オジャラ『ああ、高校生になれば、バイトができますからね。ある程度の小遣いを自力で稼げる子は、自分の好きなモノを自力調達できるようになり、落ち着くこともあると思いますよね。中学生は、(モノが欲しいという理由から)身売りするとか、万引きみたいな形で調達に走る極端な例も出てくるのは仕方ないですよ』

カウンセリングのセンセイ

『ああ、それで、中学生は、非行が凶暴なのね。なるほどねぇ』

彼女は、自分の娘にアルバイトをさせるのかどうか悩んでいたようだったが、物欲の強い彼女が悪い道に進まないように、せっせとバイトをさせたようだった。

バイトをしている時間は、少なくとも非行はできないもんなあ。

毎年、この時間には思うのだが、学生さんはホントウに素直である。

私の持っている図録を見て笑い、スゲーと言い、イロイロな作品に触れることを楽しんでいる。

知らないということは、ホントウにシアワセなのだと思わされる。

これから、まだまだ学ぶことができるのだ。そうして、イロイロな作品に触れるたびに、『スゲー』と思えるのだから、羨ましい。

創作の方法もホントウに素直で、しかも自由なのである。

アタシは、1年に1000枚というのがやっとでね、あと5年ぐらいかかると思うのよ。あなた達が、一年に1000枚描いてね、10年かかってもまだ23歳でしょう。

自分の絵が描けるようになった人だけに仕事が来るの。だからね、人マネじゃなくてね、自分にしか描けない作品が作れるまでね、コツコツと描きすすんでね。ボールペンで描くのよ。エンピツではダメなの。

彼らは、学校に報告するレポートなどもサラサラと記入し、ポストカードをカバンに入れ、今作った作品を手に持って帰っていった。

おじゃら画廊

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