◆◆◆ 1079 ★ おじゃら、茶人になる  ◆◆◆

 

2008.2.1.更新

これは、ギャラリー二階、「にじり庵」の小さな茶箪笥。

このタンスまでもらいものというのがスゴイ。

中に入っているお茶の茶椀とか、その他の道具、花器、ポットに至るまでもらいもの。

日本って、デフレなのね。

昨年、私の個展の最中に、私に茶道具一式をお譲り下さったAさんが来て下さった。

茶道具をくれるほどお道具をお持ちということは、当然にお茶のお免状も持たれている方である。

私は、本格的な茶の立て方を学ぶ。

彼は、ポットで普通に茶をたててくださった。

A『安い粉なので、苦味があるかもしれませんね』

などといいながら、その泡立てのスピードやコツなんかを拝見する。

なるほどねえ。手首は動かさず、肘から電動ノコギリのように動かして泡立てるのかぁ。

最終的な泡立ち具合とか、最後に上の方だけかき混ぜ、泡をより立てるとか、最後は「の」の字を書いて、真ん中をふんわりと持ち上げるというのは、前に教えて下さった小石川さんと同じだった。

ギャラリーに抹茶を置くようになり、自分では時々飲んだりもするし、親しい知人などには、お抹茶を出すようになった。

頂き物の器に、ポットで入れた、安い抹茶をである。

オジャラ『昔の茶道というのはね、粗末で貧乏ななか、来客に精一杯のおもてなしのために、安い茶を入れてもてなしたというところから来ているんじゃないかなと思うんですよね。

高いお茶の下の方に残った粉の茶を安く買ってきて、それを何とか美味しく飲もうとかさ、そういう話だったんじゃないんっすかね。』

A『それが、本質だと思いますよ。私は、金の茶室というのにも何回か行った事がありますけどね、あそこに座ったらどんな気持ちなのかなとね。でも、そのたびに、これは茶道の本質ではないという気になりました。』

オジャラ『(戦国時代)戦いの褒章に支払う、金が不足していたから、器に価値を持たせて、価値のあるもののように分け与えたとかね、そういう使われ方もしていたみたいだし。だいいち、その辺に落ちているような安っぽい茶椀が珍重されているっていう気がしないでもありませんからねぇ。』(→持論なので、鵜呑みにしないでください。間違っている可能性もありますので)

A『おじゃらさんは、ここに茶房があって、おもてなしの心を持って茶を立てる。器が安いとか、茶が安いとか、そういうことは関係ないんですよ。おじゃらさんはもう茶人ですよ』

などという会話。

もう茶人ってこともないけどなあ。茶人かもな。

庵を持ち、毎日茶を立てている人はそんなに多くない。(ポットだけど)

ギャラリーで留守番をしている方へのせめてものお礼に、外出したついでに、小さな焼大福を買って帰る。

マルイ1階の小さい大福屋『新杵』で売っている、小さい饅頭が気に入っている。

ゴマ、味噌、クリ、サツマイモ、漉し餡、その他、何種類もの饅頭が小さく並んでいる。

クリーム系もあるけど、あれはパス。

それを2個買って、閉店間際に、ささやかに茶を立て、頂くのである。

この前は、お友達が3人もきていたため、饅頭は半分にカットされてしまう。

それでも、ささやかな茶会は楽しかった。

一列にならんだ美女連は、はじの人から、まず、菓子を食べろなどと指示される。

そうして全部たぺ終わったらお茶を、2口半で、一気に飲め。

そうしないと、安い粉なのでまずくなる。などという勢いのある茶会である。

茶を立てている間に、菓子を食べておいてもらわないと、お茶は(安い粉なので)、お菓子を食べている間にもまずくなってしまう。笑。

次々にお茶を出し、全員が一服し終わると、誰かが、茶椀もいいですねなどと言い出した。

それは、茶会ではごく普通の話らしく、まあ、話題の糸口がつかめないような一期一会な人たちが、仕方なくする話だと思う。

我が庵の場合、5つ使った茶椀のうち、4個がタダ。

アタシは、それぞれの器を指差し、タダ、タダ、タダ、タダ、そして、これは2000円。

などという解説。ここで爆笑。

こんなに安い茶道具の話は聞いたことないよなあ。

Aさんが作って下さったお茶碗も2つあり、どのちゃわんもそれなりの存在感である。

自分でも茶椀を作ってみたいけどなあ。

そうして、茶の旨さというのは、茶椀の値段や、粉の値段ではないのだということを知った。

私は、今の茶道のことを否定しているわけではない。所作の美しさや、日本らしい美の鑑賞方法、受け答えの習得には、なんらかのマニュアルが必要だし、教室なのであれば、収益を得続けるために、工夫するのは当然である。

ただ、無ければなくても、それなりに楽しい空間となるのだということを理解しただけである。

 

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