◆◆◆ 856 ★ 八木美術さん ◆◆◆

(〒120-0032)東京都足立区千住柳町24−5

03-3870-0547

絵画商、掛け軸売買、鑑定業、骨とう品鑑定業、骨とう品売買、古美術売買、古物商、

茶道具、書画鑑定業、書画・骨とう品商、書画売買、美術品販売、文書鑑定業

2007.2.22

今日は、地元の観光マップがいよいよと校正完了となり、データの入稿日である。

長い道のりであった。

グラフィックデザインのお仕事は、当分お休みしたいよなあ。

ギャラが入ってきたら、旨いモノでも食べよう。

そういえば、この前買った銅板画の払いがまだだった。

現金払いオンリーの店なのに、オヤジは、取り置くから、これを買えと熱心に勧めていたよなあ。笑。

まあいいか。

明日払いに行こう。

そうして、夕方、印刷屋さんに、印刷用のデータを持ち込む途中の話。

アタシの事を応援してくださっている地元の方に出くわす。

オジサマ「最近どーよ?」

オジャラ「うん、3丁目に貸し画廊を開くことになった。今は、印刷屋さんに、届け物があるんだけどね。でもまあ、もう、こちらは引退して、絵に専念したいなという気持ち。」

古い町並みに差し掛かる。

オジサマ「この辺は、昔、廓があった場所でね。」

オジャラ「ああ、聞いたことあります。この辺一帯がそうだったんですか。」

オジサマ「そういえば、この近くに、古美術店があるんだよ。知ってる?」

オジャラ「柳町にぃぃぃ?」

オジサマ「すぐ近くだよ」

オジャラ「そんじゃ、寄っていきます。」

何となく住居という場所で、小さい看板が出ていて、入り口から、中が見える。

なるほどぉ。場末の不動産屋みたいな感じ。笑。

オジャラ「そんじゃ、アタシは冷やかしていきますから。」

そういい、オジサマと分かれる。

美術商の名前は、八木美術。

ネットで検索したら一発だった。京都の八木美術店と、ビミョーな戦い合い。笑。

画廊というのは、広いからいいということではない。

何をどう扱って、どう儲けているのかというのが、もっとも重要な話であり、扱っている品がホンモノで、相場価格の範囲であれば、それでヨイのである。

正面には吉田茂の大きな書が掛けられていて、壁面には、いくつかの油彩の小品やら、蒔絵のタンス、ガラスの杯なんかが飾られていた。

お値段も、まあ、日本橋価格。笑。

昔は、茅場町に店があったのだが、4年前に廃業して、今は、自宅の一階で、ささやかに商を営んでいるのだそう。

確かに、家賃がかからないで、美術品が回転すれば、それはそれで、悪くない話である。

こんな所で、4年も商いを続けられているというのは、扱っている品物がホンモノということを意味している。

店のオヤジさんは「4年間で、入ってきた人は3人ぐらいですかねぇ」などと笑う。

「皆さん、外から覗いては行くんですけどね、中には入ってこないです。」

店には、店主と、その息子さんがぼんやりとしていた。

私は、「中を見せてください」と入ると、正面の書が、吉田茂の真贋だという話から始まる。

よほど自慢の品ということのようである。笑。

画廊と美術商の違うところは、画廊というのは、作家さんとタイアップして、仕入れ無しに店舗で販売、売上げの何パーセントかを差し引くという商売である。

美術商というのは、どちらかといえば、安く買い叩いて仕入れた品を、適正価格で販売。

という筋の話。

仕入れるか、仕入れないのかで、道は分かれてくる。

ホンモノを安く仕入れるというからには、真贋を見分ける能力が備わっているということに他ならない。

お店には、芹沢ケイスケの風呂敷とか、東郷青児の色紙絵とか、有名そうな人の油彩なんかが雑然と並べられていた。

そのあと、何処に住んでいるのかという話になり、4丁目だという話をすると、私も小さい頃は4丁目に住んでいたという話で盛り上がる。

何でも、ウチの叔父さんの店の並びで先代が骨董店をひらいていたのだとか。

あの道は、都電の終点駅があり、ずいぶんと賑やかな町並みだったけど、今は、本当にさびれて、商売をする場所ではなくなってしまっている。

昔は、キラキラとネオンなんかが光っていた場所だった。

ようするに、親子三代に渡る骨董店という話のよう。

それって、老舗ってやつだよね。

美術品一筋という家系なのである。

置いてある品は、安いものは2万円ぐらいからでまあ、フツー。

アタシは、床に転がっていた竹製の美しい文箱を手に取った。

ずいぶんと古い品である。

オジャラ「いいものですね。おいくらですか?」

八木「ああ、それは売り物ではないんですよ。ウチでは、(タダの古民具で名前の無い品だから)扱えない品なんです。よろしければ差し上げますよ。」

オジャラ「そういうワケには行きませんよ。3000円ぐらい置いてゆきましょうか?」

八木「いえいえ、これは、私どもも他の品物と一緒にまとめて引き取った品で、売れる品というのは、その中の一部なんです。こちらは結構です」

オジャラ「それじゃ、遠慮なく」

中には、古い生け花の本とか、着物(袴や正装の装束)の寸法や縫い方の本なんかが入っている。

驚くぜ。

着物の仕立て方の本は、高いかもなあ。

古くて色が焼けているというのを除けば、痛みのない、美しい籠の箱で、アタシは、日本の美というものに心を動かされるのであった。

ま、グラフィックデザインのお仕事が又あり、データを持って行く必要があれば、アタシは、必ずそこにも寄ることになるだろう。

庶民の皆様、鑑定は無料ですから、売りたい美術品がありましたら、是非、相談してみましょう。

そうして、画家の目指すべきところは、そういう、鑑識眼のある画廊に扱ってもらえる作品を作れるようになる。

というところである。

頑張るわ。

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