◆◆◆ 831 ★ 展覧会所感 絵本作家 黒井 健 ◆◆◆

2007.1.16

昨日は、松屋銀座の「光と風、そして空 黒井 健 絵本の世界展」

に足を運びました。

日時:1月17日(水)−22日(月)

場所:8階大催場

色鉛筆で描かれた作品群は本当に美しく、丁寧で、心が癒されました。

黒井さんが作られた木彫も存在感があり、キャラクターに対する愛着を感じました。娘さんと作られた、フェルト人形のジオラマもステキでした。

黒井さんは、「年末に、絵本のコーナーに足を運ぶと、自分の本が一冊も無くて、自分に自信が持てなくなった。そんなときに、ごんぎつねを描くように言われ、田舎を彷徨いながら作品を作った。このときに、自分の絵が変わった」と書かれていました。ご苦労があったんですねぇ。

アニメーションになった作品も場内で放映されていて、沢山の方が楽しんでいました。

作家として、作品原画をどう保存・蓄積してゆくのかとか、そういった面からも勉強になる展覧会でした。出口では、当然に絵本が大量に売れてました。

地方の方は、展覧会の図録なんかを入手されてもヨイかなと思います。

7階では、羽織の裏の展覧会も開かれていました。こちらは22日までで無料です。

和の文様というのは、力があるなと見るたびに思います。

そのほか、福山君の写真展へ。

その後細江英公を見たため、福山君の写真展のことはあまり思い出せなくなった。

作品の力というものは、そういうものである。

写真集などが出版されちゃうと、買うほうは写真そのものではなくて、写真集(安い)で満足しちゃうもんなあ。

写真の人って大変だよなあ。

細江さんの作品は、被写体との真剣勝負という力の入り具合で、見るほうをぐんぐんと引き込んでゆく。

世界遺産の写真展というのにも足を運ぶ。

金のかかった写真群で、「行ってまいりました。何時間も待って撮影しました。どーです」

的な完成度。

世界遺産が全部載った写真集を買いそうになったが、きっと見ないと思い買うのは見合わせる。

何よりも混んでいて、見ている人が、「次はどこに行こうか?」という検討を真剣にしているというのが伝わってきた。

世界遺産の写真展を見ているということ以上に、自分の旅の計画が立てやすくなるという展覧会だということになる。

伊藤豊雄センセイの展覧会のときにも、若い建築家の、未来建築につながる展覧会だと感激したが、世界遺産展もそれに共通する、展覧会以上の何かを感じることが出来た。

展示というのはすればヨイというものではない。

作家の作品を展示するというのは当たり前として、来た人に、何を与えられるのか?

そういう所にもっと、スポットを当てて練りこんでも面白いと思うのだ。

ダイレクトマーケティングの勉強会に参加する。

1月は、アサツーの講師で、カンヌの広告のコンペの入賞作というのを映像で見せていただいた。

ドアの窓に、小さいPOPを貼り付けて、ピンポンダッシュ。

家の人がドア窓をのぞくと、ピザのお兄さんがピザを差し伸べているような写真チラシが見えるという広告には笑った。

ピンポンダッシュはまずいだろう。

それでも、ローカルな小さいピザ屋なので、売上げは倍倍。という結果。大手ピザ屋との戦いに勝利という話。

そのほか、ドアの下の隙間から、ゴキブリの形をしたカードを差し入れて、「アナタの家に侵入するのは、こんなにカンタン」などというメッセージがついている害虫駆除の会社。

ニュージーランドの農家向けに、靴の泥落とし(鉄製で結構大きい)を送りつけ、後から、靴を売り歩く靴のセールスの成功事例など、日本のプロモーションでは有り得ないユニークな作品を多数(和訳つきで)拝見することができた。

この講義がたった3000円で聴けるなんて、アタシはヨイ会に入ったものだぜ。

人に何かを買っていただくというのは、心を動かすという話であり、それは、芸術の根本に近い。

見た人の心を動かすばかりでなく、購買に至らせる。

絵画であってもそれは同じ話であり、「いい絵だから買いたい」とまあ、そういう話にまでつながらなければ、その絵は存在しなかったのと同じである。

ユーモアや、人が考えない工夫、低コストで売上げを伸ばす秘策、マーケターに戻ろうかと、一瞬心が揺れる。

まあいい。

絵画業というのは、ダイレクトマーケティングそのものであり、もし、プロモーションに成功すれば、アタシの絵は必ず売れるという確信がある。

その前の、「絵がよければ」という前提のために、コツコツと絵を描いている。とまあそういう話である。

「良い絵」になるのかどうかというのは、誰にも解らない。

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