◆◆◆ 788 ★ 小口木版 ◆◆◆

最近忙しくて更新できないので、オヒマな方は、作田センセイのサイトから行ける、

ブログ・ユトレヒト通信を読むように。

2006.11.1

イラストレーター年鑑の編さんが終了してしまうと、アタシには、もう次の仕事がない。

雑誌のエッセイと、表紙の仕事が一本づつあるきりで、(WEB構築の在宅の仕事はお断りしたので)、あとは、週に二回のアルバイトのみということになる。

まあいいか。

久しく展覧会にも足を運べていないし、油彩ときたら、全く描くことができないでいる。

もうそろそろ、2007年のカレンダーもつくらなくちゃならないし、グラフィックデザインの仕事は、今年一杯はお断りしようという気持ちで一杯になる。

銅板画のお教室では、小口木版の制作を開始する。新しい道具を仕入れたり、技法を習ったりもする。

新しいことにチャレンジするというのは、いつでも嬉しさに満ち溢れているのだが、小口に限っては、無謀だったという後悔で一杯である。

オジャラよ。

木版画で十分だったんじゃないの?

否。てぬぐいで十分だろう。

という世界。

木版画や、てぬぐいが白と黒のコントラストで形成されているとすれば、小口というのは、

●白

●黒

●グレーの濃淡

で表現されているアートである。

他の版画と際立って違う部分は、「グレーの濃淡の、細かい表現が、まるで銅板画のように作れる」

のに、木版画なので、刷るのがラクチン。

という所である。

なるほどぉ。

誰だって楽して作品を作りたい。

銅板画の、イライラする刷りのことを考えれば、同じような結果を導き出せて、刷りがカンタンな小口に心が動くというのは、なんだか理解できる。

が、オジャラよ。アンタには向かないぜ。

柄澤センセイの図録を見る限り、道具を買い込んだりするんじゃなかったという後悔でイッパイになる。

その分を、陶芸釜や、陶芸道具につぎ込むべきだったんじゃねーの???

ふぅ。

買ってしまったものを(しかも、研いだりしちゃったし)返品するというワケにもいかないでしよう。

腹を決めて、いよいよ、下絵を描くことにする。

アタシは、ほとんどの作品に下絵というのがないんだけど、版木が高いということもあり、

「白と黒と、グレーの濃淡」

の、グレーの濃淡という部分は、人生の未知の部分であり、(オジャラは影ツケが苦手)

少し、研究をしたいところである。

小口は、年賀状の倍のサイズの版木を一旦買ったものの、どうしても年賀状も小口で作りたいというニーズから(→刷るのがカンタンという理由で)

小さい版木を更に買い求める。

年賀状かぁ。

電車の中で下絵を描いたりするんだけど、どうしても線から作ってしまう作品は、グレーの濃淡という部分で行き詰まってしまうのである。

はぁ。

グレーの濃淡を、手に入れる必要があるんだろうか?

正月から、便器の年賀状をもらった人は、一体どんな気分になるんだろうか?

そんなことを考えながら、スケッチブックには、失敗した下絵ばかりが増えてゆくのであった。

そういえば、廃材を利用したアートというのも増えてきたよなあ。

著しく完成度が低いということを除けば、それなりの愛着はある。

てぬぐいのデザインは3作目が完成し、切り残した部分というのも結構沢山集まった。

渋紙というのは、一枚2500円もする高級和紙なので、捨てるというのは、最後の最後である。

小紋の柄にしようと、●や■、ハートやハトの模様に切り抜いてゆく。

ハト柄の手ぬぐいは、イイ感じだよなあ。

ハート模様も、作るのが楽しみ。

というように、創作意欲というのは無くなることがない。

そうして、マティスが注染の事を知っていたら、きっと、ユカタやてぬぐいのデザインをしたに違いないと思えてくる。そういう、美しくて、自由なフォルムのてぬぐいというのをいくつも作りたい。

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