◆◆◆ 746 ★ 発音記号を描く-2 ◆◆◆

2006.7.17

この字も難しかったよなあ。

個展は最終週となり、雨の中、金曜日、土曜日と、訪ねてくださる方がいた。

日曜日は、雨も激しく、誰も訪ねてこなかったが、発音記号は5枚程度描ける。

月曜日は、最終日となり、ポスターやチラシを握り締め、千住エリアの方が訪ねてきてくださった。

来てくださってありがとうございます。

近くに、「こういう作品を創る人がいるんだ」と、ポスターに心を動かされて、わざわざ、アトリエを探し訪ねてくださった方々である。

皆さん、伝統工芸展のポスターなども見てくださっていて、アタシの作品だとは知らなかったけど、芸術センターに貼られているのを見たと話してくださった。

地元での知名度をもう少し上げたいので、この筋の仕事は、来たら断らないと思う。

最終日に訪ねてくださった方の一人は、桂田健治さんという漫画家の方である。

何でも、ここのところはずっと漫画を描いて生計を立てているという話で、アタシは、3度もその話を確認してしまう。

たはは。オジャラは疑い深い上に、失礼な人間である。だってさ、漫画家って、大変なんだよ。

あーたね、アタシは、絵に携わる職業に関する研究というのをずっとしているわけでね、今、一番稼げるのは漫画家という職業なのよ。(類似した職業で、やはり稼げているのに、ゲーマーという職業もある。)

漫画というのは、筋も絵も描けなくてはならなくて、しかも、描き続けられるというのは、普通の才能ではない。

イラストレーターというのは、漫画家が辛そうなので、イラストを選んだという、「楽」路線系の人が多いし、コミケなどの漫画を描いているという人だって多い。でも、金にはならないのが普通である。

オジャラ「イラストレーターっていうのは、漫画家になれなかった人がなる職業だと思ってますけどねぇ。画家っていうのは、全く逆で、世に受け入れられる絵を描かない、世のニーズに逆行する創作活動のことっすよね。ですから、金にならないんですよね。」

桂田「そうなんですかねぇ。笑。」

オジャラ「漫画家というからには、やはり、最初は、何かの(マンガの)賞を取られて、そのあとで、ずっと続けて描けたということっすよね」

桂田「漫画家というのは、だいたいそういう人生ですね」

オジャラ「ですから、私は、そのスゴサが解っているんですよ」

などという会話。

イラストレーター協会に入らないか?などと桂田さんの勧誘も忘れない。

「いやぁ、僕なんか、ムリですよぉ」などと、ご謙遜。

オジャラ「たまには、劇画調のマンガを描ける方」などという仕事もあるみたいですよ。

まあ、協会メンバー内でのコンペになっちゃいますから、アタシ程度では仕事は取れないんですけどね。」

桂田「ああ、出版社のコンペみたいな世界(労あっても、結果が伴わない)ですね」

職種が近いということもあり、「あ・うん」の会話。

絵の世界は、お金を頂くというのは戦いで、一番良い絵を描いた人だけが勝ち取ることが出来るのである。

オジャラ「宴会になると、ギャル大量で楽しいっすよ。」というと、桂田さんの心は、協会入会に、かなり心が動いたようだった。

「最近、人間と話していなかった」という状態。

あれだよなあ。出版社の人って、人間じゃないんだよね。きっと。

マンガの人って、締切に追われる生活で、それは大変なお仕事なのよ。

アタシは、桂田さんと話しながら、5枚ほど発音記号を仕上げていったため、驚かれた。

たはは。描くのを止めることの方が難しい。

オジャラ「アタシには締切ないからなあ。」

桂田「でも、雑誌の仕事とかって、締切あるじゃないですか」

オジャラ「月に一本だし、アイディアの引き出しをいくつも持っているから、絵を作るとか、構想を練るとかいうのは、楽しい作業っすよ。他の仕事は来ないし」

桂田「(出版社に)営業とか行かないんですか?」

オジャラ「私の絵では、回っても、どうせ仕事は取れないんです。(「桂田さんも、回ったって取れないことあるでしょう。」「うんうん」)、その時間がムダになるというのが解っているんです。別に、イラストレーターになりたいということでもないし。画家志望ですから。仕事以外の時間は、ずっと好きな絵や、本画の完成度を上げる為の習作を重ねています。」

桂田「いいなあ、そういうの」

オジャラ「貧乏っすよ。バイトもしているし。でもまあ、バイトをするようになって、収益が安定してきましたからね、もう、絵を売る必要もなくなったし、あとは、自分との戦いが続いているって感じで。」

桂田「いい絵じゃないですか。」

オジャラ「この絵には、内面表現も、瞬間表現も足りないのです。絵の力があるだけで、芸術作品からは遠い場所にあります。」

桂田「そうなんですか?」

オジャラ「マンガというのは、芸術性という観点に一番近い場所にありますよ。人間の内面を表現するための練習を、桂田さんだって、死ぬほどしたんじゃありませんか?」

桂田「確かに」

オジャラ「絵画作品というのにも、そういうものが現れないと一流の画廊では扱ってもらえないんですよ。もう少し、そういった表現を絵で描けるようにならないとウリコミに行っても、ダメなんです。」

それは、ダメなマンガと同じ世界なのである。

桂田さんは、「近くにこんな創作活動をしている人がいることが解ってヨカッタです」などと話してくださる。

オジャラ「今度、作品持ってきてくださいね。行き詰ったときなんかに、気分転換に、また遊びに来てください」

桂田「はい、是非そうします」

良い個展になった。

ウチの個展って、どうして、プロの絵描きとか、収集家とか、漫画家とかしか来ないんだろう。

今回の個展に来た方地元の方のほとんどが、絵を描く人であった。汗。

また、ポスターなどを見かけたら、是非、アシを運んでやってください。

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