◆◆◆ 745 ★ 発音記号を描く ◆◆◆

2006.7.15

地口あんどんの絵にもすっかり飽きてしまい、新しい何かを描きたいと考える。

そうして、バイト先で、発音記号表を作るという話になっているので、カットでも買ってもらおうと、小さい作品を作ることにする。

最初は、カラーインクでいつものドローイングを繰り返すが、パっとしないので、嫌になってしまう。

この絵のままでは、ダメである。

そのダメさは、自分が見ても明白であり、ある程度はいいところもあるのだが、金をもらえる作品と言うほどでもない。

個人的には、エルテとか、ウイリアムモリスとか、その類の、美しい文様を文字の中に描きたいのである。

そういった図録を大量に持っていて、いつも眺めているのに、全く手に入れられない自分が情けなく、「世界の文様の本」を眺めて時間を過ごす。

ときどき、個展に人が来たりしても、私は、話しながらずっと絵を描いているというムード。たはは。

ときどき、絵に没頭し、話が途切れてしまうと言うこともある。

まあいいか。

作家と話しているという臨場感はある。笑。

ガラスペンや、自家製のペンを使っているのでは、文字に絵を描くのは不可能だということは理解できた。

実家から略奪してきた、ロットリングのペンというのに、黄色いインクを投入し、描画してみることにする。

最初の「i」という文字は、図録を参考にしながら描くが、次の「i:」という文字は、もう、勝手に自分で模様を作っている。

たはは。

図録は、必要だったのか?

まあ、参考にはなっている。

何時間も見つめているので、ある程度のパターンというのは、もう、映像として脳ミソに記憶されているということなのだと思う。

まだ、描画にまで至っていなかったという世界。

ウイリアムモリスよ待っていろ。

という鼻息。

作り始めたばかりなので、まだ、私のフォントという気もしないが、50個の母音と子音を作り終わる頃には、何かがつかめるかもしれない。

この筋の文様は、自分の世界というのがなかなか出にくいのだけれど、芹沢ケイスケ先生の作品なんかを見るたびに、デザインの世界でも、確固たる自分の画風というのを手に入れることがで来た人がいるのだと心が励まされる。

まだ、たいして作ってもいないのに、諦めたらそこで終わりである。

こういった、細やかなバティックのような模様をいくつも作れるようになると、本の装丁とか、スカーフなんかの柄も作れるようになる。

桜ももこがデザインした、テーブルなんかを見ると、彼女独特の罫の中に、オリジナルキャラクターが点在していて、本当にカワイイと思う。

iという文字はまだしも、eなどになると、さすがにフリーハンドでは辛い。

定規とコンパスを使って描けば、きっと、もっと良くなるに違いないのだが、使わないことにする。

フリーハンドで、美しいフォルムを描けるようになると、創作のスピードが上がるし、定規やコンパスを使った作品と並んだときに、個性が出るからである。

そうして、「イ」という母音だけで4つもある英語発音に驚かされる。

日本人が、いつまでたっても、英語が話せないワケだよなあ。

母音と子音を合わせると、50個以上あるもんなあ。笑。

音だけでだよ。音だけで。

英語というのは、文字の数が少ないので、文字そのものに意味というものはない。

だから、音で意味を伝える必要があるってことなんだと思う。

なるほどぉ。

どっちにしたって、全部描く日は遠い。

この絵は、一枚1時間くらいはかかっていて、アタシの作画のペースから考えると、物凄く遅い。

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