◆◆◆ 609 ★ 浮世絵の女展、人間国宝展、後藤純男 ◆◆◆

2006.1.7

朝、母から電話がかかってくる。

そうして、渋谷東急東横店で開催されている浮世絵の展覧会のチケットが二枚あるので、一緒に行こうという話に決まる。

そんでもって、渋谷まで。

東急の本店だとばかり思っていたので、駅で東横店だと気づいてヨカッタよ。

母「浮世絵って、みんな同じ絵なのね」

母の感想は、手厳しい。

あんなに違う人が描いている絵であるのに、みんな同じに見えるというのは、ある種の芸術性を感じる。

が、それは、200年前だからオーケーという世界ということになる。

現代の作家さんは、現代のアートに関しても知識を習得し、自分のポジションを間違えないように勉強しなければならないということである。

それだって、優れた作品は、素晴らしかった。

美人画だけが売れるから、美人画だけを練習しましたという作家さんがいないわけでもないのだが。笑。

その後、5階で開催されていると、あちこちにサインがあった、創作人形展という無料の展覧会へ流れようという話になる。

どんなに探しても見つからず、店員さんに聞くと、下着売り場の奥の階段を降りた場所で開催しているのだそう。

売り場ではないという感じ。ストックルームなんかを貸し出しているってことなのかも。

そうして、10人余りの人形作家さんたちの展覧会。結構な人が入っていて驚かされた。

渋谷・駅の上という好立地だが、見ている人は、デパートの客ではなく、人形好き系か、自分も人形作家でございます系。

人間国宝系の創作人形を期待していた母は、もの凄く落胆して、「キモチ悪い人形ねぇ」などと、球体からくりの腹の中から、更に小さい人形がでてきている大作について感想を述べる。

どんな作品にも、作家の夢が詰まっている。否定してはいけない。

そうして、ビスク顔(陶器製の人形のお顔のこと)まで自作という作家さんの力作を前に、ホントウに自分の作品が稚拙なのだと思わされる。

その後、日本橋高島屋で開催されている、人間国宝による作品展を見に行く。

1枚で二人まで入れるという、安い券で、いつもは一人で見るのだが、今日は母と2人でみたため、お得感があった。

人間国宝の作品だからといって、すべてが国宝級ということでもない。

それでも、優れた作品が多く、日本の工芸品のレベルはホントウに高いと思わされる。

陶芸、着物、蒔絵、和紙、人形、などが次々と展示されていて、見る人は、どの人も熱心である。

お正月の初展覧会は、ヨイ展覧会であった。

その後、日本橋ミツコシの後藤純男展へ。

今日見た中で一番素晴らしかった。

とりあえず、大作がズラリと並んでいて、その大きさと作品のレベルの高さに唸る。

風景画というのは、こういうものなのだ。

公募展などのように、支離滅裂に、思い思いの作品が並ぶのとはワケが違う。

自然の描写から、仏閣などの風景にシフトしてゆく過程やら、色の変化などを楽しむことができた。

アタシは、彼のコトは全く知らなかったが、風景画がお好きな方は、ぜひ足を運ぶといいと思う。今日の展覧会の中では一番ヨカッタし十分に感動できる内容である。

アタシは、風景画のことは、あまりよく書かないことが多いけど、それでも、今日の絵は、画家の絵であり、後世、誰もが大切にする絵に違いないという確信がある。

多くの人が飾りたいと思う作品から離れすぎない作品作りというのも、ホントウに大切なのだと勉強になる。

展覧会の入り口には、沢山の蘭のお花が並んでいて、生きながら有名になった作家さんというのは、スゴイものだなあと思わされる。

そうして、怪しい印刷物っぽい作品95000円(額入り)が何枚も売れているのを見て、絵の値段というのは、いつ見てもよく解らないと思うのだ。

リトグラフ17万円を買ったほうがイーと思うけどね。まあいいか。95000円と、17万円というのは、購買決断の差があるんだろう。

本物かどうかというのの判断は、購入者にはできない。デパートだから安心である的購買行動なんだと思う。

アートのマーケットは、いつまでたっても変わらないのである。そうして、教えてくれる人がいないので、お客様も育たない。

それが、デパートという場所なのだと思う。

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