◆◆◆ 584 ★ 知人が訪ねてくださる ◆◆◆

2005.12.15

私が参加している、ダイレクトマーケティングの勉強会では、毎年忘年会がある。

今年は、アトリエ見学も兼ねて、北千住で忘年会をしてくださるという。

ありがとうございます。

そうして、メンバーは、遠い中、都心の会社から、アトリエを訪ねてくださった。

物凄く寒い日であり、暖房しても、ちっともお部屋が暖まらない。

皆さん、申し訳なかったです。

アトリエでは、アタシの絵が並べられていて、みんなで、同じ向きを向いて、絵の話などをする。

Yさんは、「絵で生活している人なんていないんだからさー、それは、職業じゃないんだよ。趣味と割り切って、チョロチョロ売る方が、気が楽になるよ」

などと、全く失礼な発言。

でもまあ、実態は、そーなんだよね。笑。

本当に、情けなくなってくる。

これだけ作るのに、絵の具代は稼げているというのは、まあ、立派だけどね。

生活費には、全く回せていないのよ。

その後、Sさんが来る。

ネットオークションで絵などを時々買うのだそうだ。

「ネットで買ってイイのは、銅版画だけですよ。あとは、ダメです。」

キッパリと、アタシが言う。

「どんな作品であつても、実物を見ないで買ってはいけません。美術品というのはね、最もネットで買ってはいけない商品ですよ。」

などと、専門的(→ダイレクトマーケティング)理論をぶちかます。

アタシの考えは正しい。

自分の作品をネットで売ろうとしている人物の発言とは思えないが、笑。

事実は事実。

真実はいつも、たった一つである。

例えば、前に一度、実物を何処かで見たことがあるとかね、そういう場合は、ネットでもいいけどね。

そういう作品というのには、その作家にしか表現できない、顕著なオリジナリティーがある場合に限られるということである。

Sさんは、大手広告代理店勤務。今は、年を取ったため、子会社の副社長。

アータね、上場企業のサラリーマンで、晩年子会社の副社長というのは、エリート中のエリートよ。

本当に、いつも励ましてくださって、私は幸せ者だと思うのである。

S「それにしても、ずいぶんと、色が強いんだよね。ネットで見るのと大分違うよね」

オ「額に入れると、絵が、バーンと来ちゃいます。物凄く、強い絵なんです。」

S「この絵じゃ、飾れないよなあ」

オ「そうっすよね。強すぎますよね。」

私は、花帽子の女が並んだ棚を皆で見つめながら、もう少し、トーンをやわらかくした絵も作ろうと考えをまとめている。

前から、気になってはいたんだよね。最近、特に色が強くなりすぎていた。

それは、私独自の色彩なのであるが、受けてに受け入れられない世界になってしまっているのである。持ちたいという作品から、離れすぎているのである。

「独自の世界であっても、ああいいなあ」という絵もある。それはそれで、絵を買っていただこうと思うのであれば、大切なアプローチなのだ。

Sさんは、「後、もう少しだよ」と励ましてくださる。

私は、「ハイ」と答え、自分の進むべき道を間違えないようにしなくてはと思う。

オ「私のように、全くの無名なのに、こんなに広い場所で、毎日好きな絵だけを描いている画家はいませんからね。感謝して、精進しようと思います。」

全員が、その意見に賛同。

これ以上の幸福はない。

最後に、理事長のTさんが到着。「おおっ。ここでいつも描いてるんだーっ」などと感想を述べてくださる。いつも、ワークショップの記念品などをオーダーしてくださり、ありがとうございます。

メンバーの方は、全員が雑誌「アイ・エム・プレス」の読者であり、私のイラストを、毎回楽しみにしてくださっているという話で盛り上がる。

皆さん、応援してくださって、本当にありがとうございます。

それにしても、「(発行人の)Nさんも、よくアタに頼んだなあと思いますよねーっ。」

全員が笑う。アタシが雑誌の表紙イラストを描いているという事実が、未だに、驚きである。

そのあと、ドラゴンゲートで宴会。

遅れてきたKさんと、Y田さんは、宴会のあとで、アトリエ見学。

コーヒーでも飲んでく?

などという、お約束の言葉を夜も深まった時間に、年若の殿方に発言するのは、ドキドキするよねー。

別に、何も無いんだけどさ。笑。

Kさんは、小さい油彩を買うと言い出し、アタシに、「別に、ムリして買わなくてもいーよ」などと、冷たく断られる。

オジャラよ、真剣に売れよ。

だよねーっ。

あまり、商売に向いてないんだろう。

でもまあ、欲しくなければ、買ったりはしない。

収集活動というのは、本当に勉強になり、買う人の気持ちというのは、ビミョーである。

決断は、購入者が独自で行うものであり、そうでなくてはならない。

絵など、砂の数ほど存在するのである。

好きな絵を買えば良い。

そういうモノなので、販売の勉強をした人であれば、どんな商品であっても、ムリに勧めたりはしないのが、商売道というものなのだ。

そうして、そういうやり取りの中でだけ、信頼関係というのは生まれてくるのである。

そうして、やっぱり、一個、絵を買ってみるというKさんのために、その絵の裏にサインを入れていると、絵が破裂。

げげっ。絵を補修しなければならない状態に。

小さい破損であるが、売る前に壊れてしまっているのだから、手渡す前に、補修するというのは、当然である。

ということで、また今度ね。

冬は絵が乾かない。