◆◆◆ 549 ★ 個展まであと10日 ◆◆◆

2005.11.10

もう何回か塗り重ねたほうがイイような気もする作品であるが、とりあえず、ステッチを入れて完成にする。

カメラが変わったので、今までの絵と、写り方が違うんだよね。

まあいいか。

なんとなく、立体的。(実物に近い)

そうして、薔薇なんかよりも、人物の方が圧倒的に難しいということに、改めて気づくのである。

なんだか、華やかさに欠ける絵だよなあ。

この絵はどうせ売れ残るので、乾燥したら、髪の色は赤にして、花でも描き添えよう。

というように、個展に併せて、とりあえず、完成という状態にされてしまう。

それでも、年に二回の個展があると、グズグズと完成しない絵であっても、一旦は完成させる作業に入る。

この、絵を完成させるという作業が、作画の中で、もっとも力がつく作業なのである。

とりあえず、完成した状態を壁に並べて、自分の作品の足りない部分を考える。

そうして、もっと良い絵に仕立て直す構想を練る。

そういう作業だけが、絵を進化させる。

この構図の絵は気に入っていて、f6、F3、SMの三枚を完成させる。

どの絵も、それほどイイということでもないが、薔薇よりはマシである。

手の表現とか、ボディのフォルムなどは、まだ稚拙だけど、それでも、技術的には、薔薇よりはずっと慎重に作っているという実態もある。

ところどころ、白い部分を残したり、ボディのフォルムを単調化したりもする。

そうして、体の色は、色の三原色のルールから言うと、どうしても黄色でなくてはならず、フランス国旗と、イギリス国旗の前に立つ女みたいなムードにさえなっている。

まあいいか。

この絵もどーせ売れないのよ。

世の中、そんなに甘くはないということである。

猫よりは、よっぽどイイと個人的には思うが、どの絵を選ぶのかは、アタシが決める話でもない。

結局は、お金を出す人が正しい。

この薔薇も、アタシの薔薇らしく、他のとは違う絵なのに、同じ絵でございますという顔をする。

そうして、今回の個展で売れ残ったら、花帽子の女にされてしまう予定の構図。

卑怯モノめ。

それでも、顔は嫌だという人もいるかもしれない。世の中の常識は、画家の常識とはズレている。

ヨシトミさんは、今回、池田満寿夫賞の佳作に選ばれたというのに、カンバス作品は、アタシの絵よりも安かった。

でも、抽象画だから、売れないのである。

ヨシトミ「安いっしょ。でも、売れないんだよね」

とボソっとアタシにつぶやいた。

オジャラ「こっ、これって、アタシの絵よりも安いんっすけど。」(→銀座のギャラリーでだよっ。)

聞けば、砂の流れに従って、あっという間に完成する作品らしい。

買うほうは不安なんだよねーっ。きっと。

そんな話を彼女の個展でする。

賞を取ったからといって、作品が売れるということでもないということは理解できてきた。

作品が、解りにくいということなのだろうと思う。

部屋に飾る作品には、安堵や、多少の意味を求めたがる。まあ、そういう消費傾向があるということで。

なんとなく、ボツボツ。笑い。

もう少し、影付けをマスターしたいよなあ。

そうして、何枚かの絵は、完成し、乾燥棚に並べられる。

もう少し、ありきたりの薔薇を作るべきだったのかもしれない。

オーギャラリーの隣のビルの地下の画廊では、現代アーティストによる展覧会が開かれていた。

アサ糸を結んで、その中を歩くと、糸に吊るされたリング状の金物が音を立てて鳴り響くという作品である。

それが一個だけ展示されている。

電気もついていない。汗。

アーティスト「ときどき、勝手に鳴ることもあるんですよ」

オジャラ「見えないものが、見えると言い出す人なんかがいたら、大変っすね」

アーティスト「嫌、それはそれで、、、。」

という会話。

そうして、横トリに行ったかどうかという話や、バンクアートで展覧会をしたらどうかとか、そんな話をして、その画廊を出る。

現代系のアーティストは、本当に大変だと思わされた。

ヨシトミさんも「風景とか、花とかは売れるんだけどねー」と、成功体験を語ってくれたのに、そういう作品はもう作らないのである。

(里中センセイ曰く)それでは、売れなくても仕方が無い。

まあそういうことなのだと思う。

薔薇の絵が良いということではない。

買うほうにしてみれば、薔薇の絵は、人物や、現代系の、ワケわからない作品よりは、飾ってあげてもヨイということのようである。

どーよ。この感覚?

ウチに来る人の多くは、人物も買うようになりつつある。理由は、学習が進むと、薔薇は薔薇でモノタリ無くなるからなんだと思う。笑。

それでも、抽象画を買ったりもしない。

一人だけ、抽象画が欲しいという人がいたよなあ。買わなかったけど。笑。

学生さんだったからね。15000円は高すぎるのだということのよう。アタシは、学生時代には一日に4時間のバイトで5000円稼いでいたけどね。いまどきはドーなんだろうね?

抽象画も、もう少し力がつけば、きっと売れてくるはずである。人物や薔薇などよりも、見たときに、よっぽど精神を開放できる何かが潜んでいるという気が最近してきた。

きっと、リーウーファンを見たせいだと思う。