◆◆◆ 542 ★ 鈴木さんの展覧会、アトリエ・エレマンプレザン、小林敬生先生 ◆◆◆

2005.11.4

話が前後してしまうが、11月4日には、アトリエ・エレマン・プレザンの講演会があったので、聞きにゆくことになる。

アトリエ・エレマン・プレザンというのは、アートの学校である。

他のアートの学校とは違うのは、「ダウン症」の子供たちを集めたクラスがあるというところだろう。

ダウン症というのは、染色体異常が引き起こす、知的障害患者のこと。

通常46本の染色体が一本多い47本で生まれてくるのが原因なのだそうだ。

発症の確立は、1000分の一。高齢出産が増えている昨今では、その確立は高くなっているということである。

そうして、ダウン症として生まれてきた子供たちは、中学までは、学校などの受け入れ施設があるのだが、その先、学びたくても、学べる場所が無いのだという。

エレマン・プレザンは、そういった子供たちの親が学費を出しあって成り立っている、アートの活動を自由にさせるという学校である。

ダウン症の子供たちの中には、独特の色彩感覚を持ち、自由に描くことができる子が存在するのだそうだ。

全くためらうことなく、絵を描き始めるのだそうだ。

アタシもためらったりはしないけど。汗。

そうして、絵を描きつづける事ができるのである。

エレマンプレザンは、三重に本校があり、代々木に、小さいスクールがあるのだそうだ。

家賃だけでも年間100万かかってしまうし、親の月謝だけでは到底資金が不足していて、継続できるかどうかというところらしい。

そうして、そこで描いた作品なんかを、今回聖路加病院に展示し、永井画廊さんで販売もしようという活動になったのだそうだ。

親も、学校の方も、作品が芸術だから、原画は手放さないという考えを変えられないという問題が浮上しているらしい。

うーむ。

ビミョーだよなあ。

中には、芸術性の高い作品もある。

でも、拝見したところ全部ではない。

作品は、精巧なデジタルプリントで頒布販売されるらしい。

そんなもん、要らないけどなあ。

値段にもよるけど。2000円なら、協力してもいいけど、20000円出すなら、原画を買いたいよね。

それでも、紙を目の前においておけば、幾らでも描き続けられるワケだからねえ。

画家というのは、描いた絵を売るのが本業だと思ってるけど。

ダウン症の自立を支える活動なのに、親や関係者がそれを制限しているという、構造的問題が生じているというように、アタシには見えたけどね。

絵が販売できるという成功体験は、子供たちもきっと理解できると思う。

そうして、もっと良い絵を描こうという気持ちになってくると思う。

ダウン症患者の多くは、通常の人よりも理解する速度が遅いだけで、時間をかければ、やり遂げられることの方が多いのだと聞いた。

作品販売は、原画でなければならない。

印刷物でも構わないけど、精巧な印刷物を作るのに、実は、何万円もかかるのである。

今必要なのは、学校を継続し、門戸をもっと広げてゆくことである。そのために、一番はじめにすることが、作品を現金化するということじゃないかとアタシには思えたけどね。

まあいいか。人の活動だし。

代々木校で中心となっている佐藤さんのスピーチは、感動的だった。

「場所さえあれば、活動が続けられるんです。もっと、沢山の人を受け入れることもできる。」

と話していた。

それは、アーティストも同じことである。

少子化が進み、廃校の再利用をどうするかという問題を抱えている区は、実はあちこちにある。

若いアーティストや、そういうダウン症の患者さんなんかが、自由に絵を描ける場所に使えないだろうか?

外国のアーティストも、滞在費が高いので、日本で活動できないという人も沢山いる。

一部を、地方や外国のアーティストの宿泊施設として、安く貸して、収益は運営費に回す。

廃校をいくつかのパートに分断して、それぞれの運営者が、それぞれにそのパートを運営するという案で、アーティストの拠点にできれば、世に出られる人が沢山いるのになあ。

そんなことをぼんやりと考えていた。

この日は他に、鈴木さんの銅版画と、シロタ画廊で開催されていた、小林敬生センセイの小口木版を見に行く。