◆◆◆ 415 ★ ゲンダイアート系来客 ◆◆◆

2005.7.9

金曜日の夕方、つけ替えたばかりの看板を見た人が、あとりえに流れてきた。

なんでも、銀座のスジの方で、今日は、図書館の帰りらしい。

アタシは、看板の下塗りに没頭していて、彼が入ってきたのに全く気づかなかった。

そんでもって、彼が冷房エリアに入ってくると、最初の一言は、「ギンザでやればいいのに」

であった。

そんでもって、次の一言は、(プレス機を見て)これって、文法堂のM型じゃない?

である。

プレス機の品名まで当てた人は、この人が最初である。

何でも、現代アート系の(たぶん、収集もしていると思う)ファンで、京橋からギンザ、新橋まで流れる程の愛好家なのだそう。

「でも、ゲンダイアートだからねえ。具象もキライなんだよねー」

じゅんさんかと思い、顔をヨーく見るが、やっぱり違う人に見える。

世の中には、

「何がなんだか、全く理解不能」という作品が好きな人も、結構いるもんなんだぁ。

まあ、情報が進んでくると、印象派なんか、クソ食らえという常識になるのかもしれないよなあ。あまりにもフツーだもん。

そんでもって、壁に掛かっている、常設コーナーの作品を見て、

Y「うわ。これ、ウノアキラ?」

オジャラ「そうっす。その上が、タガシンで、そのトナリが、サクタトミユキっす。」

Y「え?サクタって誰よ?」

オジャラ「去年、高知の版画展で大賞取った」

Y「あー、知ってる、知ってる。あのサクタさんねー」

オジヤラ「アタシの銅版画のセンセイで、といっても、文房堂のお教室っすけどね。偶然に。」

Y「このトナリの奴は?」

オジャラ「あ、それ、カンザワさん」

Y「誰それ?知らないけど」

オジャラ「お友達」

みたいな会話。

英九とヤマグチ啓介を自慢しそびれたよ。

タハハ。

Yさんは、アタシが看板を塗っている間に、玄関の作品をだいぶ見ていたらしく、もう一度、

「(こんなところで個展やってても仕方ないから、)ギンザでやりなよ」

と感想を述べてくださる。

アタシは、「全部売れても、貸し画廊だと赤になるんっすよね。絵が安いんで。それに、展覧会やれば売れるってもんでもないっしょ。シッカリ、プロデュースしてくれる画廊を探してるところっす。」

と答える。

Y「確かに」

オジャラ「どっかイー所ご存知ないっすか?」

Y「イヤー、俺、ゲンダイアート専門だからさあ、こういう系は詳しくないんだよねーっ」

画廊巡りをすると解るのだが、画廊というのは、ホントウにイロイロとあるのである。

絵の人は、美術系情報誌だけが頼りなのだ。

そういうメディアでの露出度とか、話題になり具合、そんなところも重要ということなのである。

ワリに、解りやすい業界である。

美術系で売れている雑誌は3冊程度しかないし、それは、ハッキリと価格帯で別れている。

イラスト系はイラストレーションかみずえ、美術手帳の3冊しかない。

どれも高くて買えないんだけどさ。

そういうところで話題になったからといって、絵が売れるとは限らない。

でも、絵がよければ、必ず取り上げてもらえるのよ。

そこだけは間違いないワケ。

分け入っても分け入っても青い山。(山頭火)

ま、そんなこんなで、アタシも、何も考えていないということではない。

それでも、油彩で10号作品をあと20枚、20号、30号を、あと5-6枚程度作ってからにしたいんだよね。

冬の個展の時期か、来年の夏かなあ。

それまで金が続くんだろうか?

作品の構成能力が、まだ低いのよ。

大きい作品を作ると、その辺が、モロに出てしまう。

人物ドーンだけじゃねえ。作品の幅の狭い画家だというのを見抜かれてしまうしね。(っていうか、逆に絵が大きいんで、20号だと一人しか入らないんだよね。大きい絵も描けるという自信はあるんだけどさ、作業する場所がねーのよ。)

かといって、サロメやアダムとイブじゃねえ。

という世界なのよ。

両方描くと思うけどさ。(話題作りというのもあるし、描きたいからというのもある)

そんなありきたりなテーマで絵を描いたって仕方ないってことなのよ。

風景?

あんなの絵じゃないという人もいるしなあ。(→、そう言ったのは、アタシじゃないよ。)

というように、深みに入ってくると、この業界では、風景画家というのはかなりないがしろにされているみたい。最低でも具象じゃないとねえ。らしい。たははは。マジっすか?

嫌、まあ、結果が全てなのよ。風景だって、サエキやオギスのような、独自の世界であればね、誰だって欲しいワケだからね。

その世界は、凡人が考え及ばない場所にあるってことなんだろうか?

あ゛ーっ。ゲンダイアートの人が来ると、アタマが混乱するぜ。

誰も来ない個展という特徴があるが、来る人は濃いぜ。

そんなこんなで、やっぱ、アトリエ個展は、地元の知名度アップのために、ささやかに続けようと思うのであった。

第一、ここで、人がワンサカ来たりすると、ドラマになったときに、盛り上がりに欠けるもんね。