◆◆◆ 404 ★ 額縁屋閉店、ありがとうございました。 ◆◆◆

2005.6.23

帰国してからというもの、この額縁店にはずいぶんとお世話になった。

本業は、ミツコシ他、有名都心デパートでの複製画の販売。

最近は、額付き油彩SM号10000円均一というので大ブレイク。

余った額縁や、展示会が無いときなんかは、千住のお店で、ほそぼそと安売りし、商品を回転させながら、マットなどもカットしてくれるという、珍しい形態の店であった。

であるからして、有名画材店の額縁屋のように、自分の好きな枠を選んで、特注で額をあつらえてもらうという筋の額縁屋とは違う。

あくまでも、量産させて、安く仕入れた規定の額が中心で、品揃えはそう多くない。

在庫の中で、絵に合う額を選ぶという程度なのである。

それだって、仕入れる側にしてみれば、1個2万円か、1個4000円かは大きな違いである。

1個二万円の額に入れた絵を、1万五千円では販売できないだろう。

世の中そんなに甘くないのである。

額縁が二万円でしたから、絵と合わせて3万五千円ですといえば、買う人は少なくなる。

まあ、知名度が上がれば、売れないワケでもないのかもしれないが、アタシみたいに、まだ駆け出しでは、バンバンと売れるということもないだろう。

アタシが帰国して、額縁屋に行くようになり、置いてある筋の絵には、随分勉強させてもらった。

イイ絵もあるのだが、金を出して買いたいとは思わない。

オヤジは、静物もヌードも全く売れないという理由で、主に、風景や花しか置いていないということもあるのだと思う。

画家と呼ばれるセンセイ方は、セッセと絵を描いて、二束三文で、行商の絵を扱う筋に売り渡すのだそうだ。

そうして、行商は全国の画家から買い叩いた絵を、こうやって、売り絵専門のお店に売り歩く。

オヤジは、その中から、売れそうな作品を厳選し、更に買い叩いて、デパートで販売。

というルートである。

アタシは、その絵達が、一体いくらで売買されたのかを知っている。

そうして、こんなに素晴らしく見える絵であっても、金を出して欲しいという絵は少ないのだ。

否、大きすぎれば、タダでも困る。

くれるといったって、要らない絵もある。

ま、そういうことである。

この中には、優れた画家さんの作品も混じっていて、玉石混合という状態。

が、値段はあまり変わらない。

描けば描くほど、売れる数よりも、売れ残りが増えてしまうので、安くても現金化して、新しい絵の具代にする。

そういう構図のようである。

それでも、今回の閉店セールで、中、小はほとんど売れてしまっていた。

もともと市価の半額ぐらいな品なのに、更に半額だからね。

みんな絵は欲しいけど、買えない程の値段だと買ったりはしないのだ。

安ければ欲しい。そういう人が多いということのようである。

それだって、デパートで何億も稼ぎだしたお店である。

置いてある絵が、そんなに悪いワケではない。

額縁屋のオヤジは、自分の鑑識眼だけで、20年もこの商売で儲けてきたのである。

オヤジは、自分の所にある絵は、インテリアだとキッパリ言い放つ。

「芸術品は、扱ってませんから。」

それが彼の口癖である。

インチキ・粗悪絵画をゲージツだと言って高く売るよりはヨッポドマシである。

置いてある作品は、芸術というカテゴリーではないということだ。

アタシ的に言わせてもらえば、芸術品も無いわけではない。

芸術と評価を下す人が、そう下していないだけである。埋もれたる名画ということになる。

タダ券で、美術館をいくつも回っている庶民に鑑識眼が無いということでもない。

彼らは、アタシの絵の中で、いつも一番出来が良い絵を選び抜く。

それでも、買ったりはしない。

飾る場所が無いからなのだそうだ。

身近に絵が飾れる日というのは、いつ来るんだろうと思わないわけには行かない。

この店が無くなると、不便だぜ。

おじゃら画廊

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