しゃぼんだま あおいそら |
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◆ 5150★ 篠田桃紅さん-4 ◆ |
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2021.4.3. |
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『婦人公論』2018年4月24日号 https://news.yahoo.co.jp/articles/ 276583a780173b6f0f4de5371cb2dc0803b55c7f 記事転載(長期間の間に記事が消えてしまうことがあるため) ******* ◆人生は悲しく苦しい。だから、芸術ができた 文学、音楽、アート。あらゆる芸術は「幸福」からは生まれないように思います。芸術は、人間がつくりだした素晴らしいものだけれど、幸福だったら存在しえなかった。そう考えると非常に悲しいもののようにも思います。 人は常に幸福ならば、芸術などなくていい。生きることは悲しい、苦しいことでもあるから、芸術というものができた。ウキウキさせる芸術もあり、悲しみを増長する芸術もある。楽しくも悲しくもない、こちらを深い思索に導く芸術もあります。 子守唄をお母さんが歌い聞かせ、子が安らぎを覚えれば、音楽は幸福な存在。悲しみを表現した芸術に触れて、自分の悲しみと重ね合わせれば、芸術は共感する存在。 悲しい時、苦しい時、楽しい時、あらゆる場面で、芸術は人の心を支え、慰め、和らげる役割を果たしています。いつも人に寄り添ってはいます。 でも、非常に深く癒やされたり、救われたり、元気づけられたりする人がいる一方で、同じ芸術が何の役にも立っていない人もいる。アートと人の関係はそういうものですね。強く結び合う時もあれば、何の縁もない時もあります。 そのことについては、お釈迦様がすでに言っています。 「縁なき衆生は度し難し」 いくらありがたいお経を読んでも、縁のない人はどうしようもない。何の役にも立たない、と。 芸術は人の心にどう働きかけているのか。世の中が嫌になった。けれど文学などを読んで、生きる気力を取り戻す。人生観が変わるほどの影響を及ぼすこともあるでしょう。そこまではっきりしたものではないけれど、気持ちが和らぎ、静められる、ということもあるでしょう。 心が落ち込んだ時、芸術に触れて心を立て直す、という人が私の周りにいました。つらい時、歌を口ずさんで自らを慰める人もいます。芸術には凝縮して固まった心をほぐしてくれる作用があるように思います。 ******** ◆現実を写実するのではなく「生み出す」 抽象画は、現実そのものを表現するのではなく、現実が持っている夢や怒り、悲しみみたいなものを、その現実のなかから抽出して、別のかたちに置き換えます。すでにある現実を写実するのではなく、生み出しています。 想像力が主になっているので、現実はずっと後退しています。言葉を換えれば、どんなことだってやろうと思えばやって構わない世界です。しかし、やっても、やっても、まだまだ何の表現もできてないと思うから、いまも私は筆をとっています。 そして幸か不幸か、行き詰まることはありません。行き詰まるわけがない。永遠にやり続けても、終わらない世界にいるのだから、行き詰まるはずがありません。これは幸せなことと言えば幸せです。 ******** ◆ものをつくって生きてきた人間として 幸福とか不幸とかは、客観的には成り立たない概念です。本人が幸福だと思わなければ、いくらほかの人が「あの人、幸福ね」と言ったところで、幸福とは言えない。まったく主観的なものです。 幸福な人生かどうかは、結局はその人の価値観次第です。この歳になっても、まだ筆をとらなければならないのかと思う人には、私のような人生は不幸でしかありません。 価値観は、千人いれば千人違います。その人にとって、自分はこれが一番良かったと思える一生がいいとしか言えない。満ち足りている人は、自分の価値観を持ちうる人なのでしょう。自分の置かれている境遇に対して、こんなはずではなかったのにと思っているようでは、永遠に幸福にはならない。要は気の持ち方で、人生は幸福にも不幸にもなりうるのではないかと思います。 これまでの私の人生は、作品をつくったということしかありません。子どもを育てたわけでもないし、何もないです。ものをつくって生きてきた人というのは、結局、それに賭けたのですから、当然と言えば当然なのでしょう。ただ、普通のありきたりの生き方でもなかったし、ありきたりのものをつくっていたわけでもない。非常にユニークなものである、ということだけは事実です。 しかし、それがこの世に、ずっと地球の上に長く残るかどうか、人々にどういう影響を与えうるかはわかりません。こればかりはアートの持つ宿命で、後世の人に委ねるほかないことです。 ーーーーー 篠田桃紅さんの最新作が発売されました 『これでおしまい』 著:篠田桃紅(講談社) ******
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