◆◆◆ 369 ★ 芹沢ケイ介展 ◆◆◆
2005.5.17 |
柏市立砂川美術工芸館までテクテクと行く。
遠いぜ。 そんでもって、彼の素描を見る。 絵画としての芸術性は感じない。 あるとすれば、好きなものを、きままに、物凄い速さで描いた、メモ書きのような作品群だということである。そういう、力の抜けた良さというのはある。 あらゆるモチーフをスケッチし続けて、良い作品は、蛇腹状の本に貼り付けるなどして、いつでもデザインの参考にできるようにしていたということである。 展覧会では型染めの手順というのも、順を追って閲覧することができるようになっていて興味深かった。 22日までということもあり、ポツリポツリと人が来てはゆっくりと眺めてゆく。 あんなにゆっくりと作品を見たのは久しぶりである。 |
|
民芸か、芸術か。 自分の作品作りを、どう進めてゆくのか。 そういう岐路があり、芹沢は民芸の道に進む。 民芸の中に生きる美に着目して、生活の中に溶け込む「用の美」をつきつめていったということである。 毎日、洗濯中、ドローイングの習作を重ねながら、三岸節子と、河井寛治郎のビデオを交互に見る。 どちらも創作意欲を掻き立てられる内容で、アタシも絵を描こうというという気持ちにさせられる。 そうして、アタシはどちらにゆこうかと、ぼんやりと考える。 オジャラよ。芸術かどうかを決めるのはアンタじゃないんだよっ。 たはは。 アタシは、自分の絵を描けばよいのである。 もし、その絵がよければ、買いたいという人がいる。売れればまた絵の具が買える。それだけの話である。 |
|
芹沢の後、ダイレクトマーケティングのワークショップがあるのでギンザに流れる。 時間が早かったので、イトーヤでドクターマーチンのインクを買った後、図録コーナーで図録の立ち読みをしていると、外国人が、鼻息も荒くやってくる。 「ジャパニーズカリグラフィー テキスト」 とお世話係の日本人に説明している。 日本人は、俳画の本などを手に取り、これじゃないかとか説明する。 外人さんは不満そうであった。 アタシは見かねて、「書道の本じゃないっすか?」と教えてあげる。 ジャパニーズ カリグラフィーというのは、書道のことだからである。外人さんは、書道には並々ならぬ関心を寄せている場合が多いのだ。 お世話係の人は、サラリーマン一筋で、絵のことはサッパリという感じであった。 俳画の本を手に取りながら、「こういうマチエール(細部を作るテクニック)も必要だけど、カリグラフィーなんだよ。」 と、外人さんは、必死に説明してくる。 明日帰るため、今しか買い物の時間がないらしいのだ。 アタシは、ワークショップまで時間があったので、「近くに書の専門店があるから、そこまで案内してあげますよ。」とガイドを申し出る。 一日一善というのは地道である。 |
|
イトーヤから鳩居堂まではすぐである。 そんでもって、2階の書のテキストコーナーへ行く。「どんなテキストが必要なの?」 と聞くと、どうも、創作系の手本になるようなのが欲しいらしい。余りにも図録の点数が多いので、店員さんに伺う。 「英語と併記されたテキストのようなものはないんですか?」 「えっ、英語のは無いです」ギンザの一流専門店なのに、品揃えが十分じゃないぜ。 「創作系の書が沢山載っている図録はありますか?」 「これしかありません」 そうだろう。創作の書を書く人が集う店ではないのである。 まあいい。他に選択の余地がない。ここで探すしかないのである。イトーヤの図録よりは、希望に近いムード。 とりあえず、3000円のテキストを見せると、彼はかなり気に入ったようだった。 彼は、同じ本を3冊買うという。 一つは、保存用。一つは図書館に寄贈、一つは、自分が創作活動をするのに利用するからだそうだ。お金持ちみたい。 |
|
その後、階段にディスプレイされていた筆を見て、今度は、「これを買いたい」と言う。
アタシは、「これは、プロ用でお高いから、もっと安いのを買え」 と言ったが、彼は聞き入れない。(自分は金は持っている的態度。) 仕方がないので、お世話係の人に、「ドル立てでいくらか教えてあげてくれ」というと、彼は、計算して、外人さんにお値段を告げる。(12万3千円) 外人さんは、「全部(筆12本程度と、それを掛ける蒔絵の台込み)でか?」と尋ねるので、 「一本でだ」 と答えると、彼は気絶しそうになり、「筆は次回来たときにする」と言い始めた。その後70ドルの筆をオススメしたが、これも、「次回にする」と言っていた。大きい筆なら7000円くらいはするけどなあ。 次回にするのは当然である。 イトーヤで3万円近くの画材を買っていたけど、後でカードの請求書がきたときに彼は、きっと気絶するに違いない。 アトリエには捨てようと思っていた、日本の扇のデザインの本というのがあって、書の作品の扇もイッパイあるから、あげるのになあ。 |
Established 1998 Rica's Bar WEB SITE & Since 2003 Atelier Ojara. Copyright (C) All Rights Reserved by Rica Ojara. |