◆◆◆ 352 ★ 春陽展、三岸節子、ゴアサさん ◆◆◆

2005.4.27

春陽展のチケットをゲットしたため、上野に向かう。

春陽展に行くのは初めて。

公募展というのはいつもガラガラである。

版画部門で気に入ったのは、小林ドンゲの美しい線の作品。

あのように、毅然とした線だけの版画というのを作りたい。

それは、黒や灰色の面で誤魔化したりしない、線だけで勝負する世界のことである。

線だけの版画というのは、実はあまりない。

ピカソの版画のシリーズなどは有名だが、マチスやピカソ、満寿夫、ウノアキラくらいじゃないと、そういう版画は見れたりはしないのだ。

小林ドンゲという人の作品は、本屋で画集を立ち読みしたことがある。エロイ絵である。

そうして、その他、テイストは異なるものの、ヤマシタジュンコさん、ウチダトモヤさんなんかはお気に入りという感じ。

それぞれ人物系というのが、やっぱ、アタシの趣向の根源なんだと思う。

その後、油画部門で、サトウアイコさんの作品を見る。

去年、アオキシゲル記念大賞で入選された方で(ワガママさんのお友達というか絵の仲間)、タッチをずいぶんと変えていたが、伸びやかな線や、画面を構成する色彩の美しさは群を抜いて素晴らしい。

今回、東京に来ていたのを知らなかった。あんなに大量に展示されている中で、絵を見ただけで、誰が描いたのか、名前などみなくてもピンと来るというのはスゴイコトなのである。サトウさん、スゴすぎ。

その後、イトーヤで文具を物色する。

一番上のギャラリーで、カマワヌさんという手ぬぐい屋さんが、展示即売をしていたので、少し冷やかす。

なるほどねぇ。

セリザワケイスケと違うということは良く解った。

ほとんどの作品は、昔の手ぬぐいデザインの比率を変えたりして作られた、スタンダードな柄多し。

まああんなもんだろう。

都美術館のミュージアムショップほど売れているということでもない。

価格は一枚1000円でオツリが来るくらい。

布が、少し安っぽいと思わずにはいられなかった。もう少しシッカリした布に染めれば、もっと売れるはずなのだ。

その他、エプロンとか、バッグも販売されていた。てぬぐいの生地では、どうにも薄いだろうと思っていたのだが、同じ柄をもっと厚い生地に染めて、それで雑貨をつくっているということが理解できた。

アタシには、てぬぐいを半分に折ったサイズのバッグは、少し中途半端な大きさだと思わないわけにはゆかなかった。

まあいいか。買う方には、買うなりの理由があるはずなのだ。ユカタとか、夏の着物なんかにはよく合うと思う。

そのあと、ギンザの8丁目に流れ、更紗の展覧会というのを冷やかし、三岸さんの絵を販売する画廊の展覧会があるというので、そこに足を運ぶ。

おおっ。テレビで見た、太郎さんがお客様と商談中。

お客様は、「センセイの絵から、パワーをもらいたいの。」

などとリクエストを出し、(予算的に)小さい花の絵を勧められると、「小さい風景がいいのよ」などと言い出し、結局、小さい風景画は存在しないので、ガッカリとして帰っていった。

その間のやりとりで、オジャラは、売買価格を知ることになる。

うっひょー。

アナタには教えてあげないわ。うふふ。

買いもしないシロウト女に、公開されていない絵の値段をネットで公開されたら、先方も困るもんなあ。たはは。

そこには、見たかった花の絵が何点もあり、アタシは満足だった。

特に、黄色い花と、赤い花は、物凄い力で私を攻撃してくるのだった。

あれが絵画というヤツなのか?

確かに、春陽展には一枚もあんなパワーのある絵はなかったというのは理解できた。

クレラーミュラーさんは、ゴッホの絵を見て、「画家の魂を感じた」と話していた。

アタシは、そのときには、どういう意味か解らなかったが、節子の花の絵には、そういう魂の力というのを感じることが出来た。

まあ、その他、雑感イロイロあるのだが、長くなるので省略。

とりあえず、花の図録を一つゲットすることにする。

あの絵を描くには、20年くらい塗り重ねを続けなければならないということは解った。

彼女曰く、「絵は完成することが無い」のだそうだ。

自分の手元を離れたときに完成するとも言っていた。

なるほどお。まあ、手元にあると、ぶち壊して違う絵になること多いからなあ。

なんとなく理解できる。

でも、一旦完成して、ヨイと思った絵は、なかなか変えられない。

画廊では、ミツコシの招待券を頂く。ヤッタゼ。

そんなこんなで、もう一回、日本橋ミツコシまで来た道を歩いて戻ることにする。

途中、ゴアサさんの展覧会を覗く。先週で終わったはずの展覧会なのだが、大量に売れたため、未練たらしくまだ展示されていた。正確には、次の展覧会までの間、なんとなく置きっぱなしという感じだと思う。

彼女の絵は、20号で56万円程度だった。でも売れちゃってるのよねぇ。ギンザだから、それくらいの値段で売らないとね。

あの絵はどうやって描いたんだろう?

伸びやかな線が、白い絵の具の中に見え隠れした、なんとも癒されるその画風は、ホントウに独特でカワイらしい。今度見に行く90万円の絵というのと、どの程度の差があるのかもチェック。

節子の絵とは大分差があるけど、これはこれでアリだと思う。

節子は、日記の中でこう語っている。(テレビ番組から、かなりかいつまんで、要点のみ抜粋)

「人生はなかなか困難至極なものなり-----休まることが無いのだ。私の運命は好んで困難な道を歩む。

勇気を奮って全努力を傾けなければ敗者たるをまぬがれない。

また一段も二段も仕事の上で階段を上らなければ私自身を失うことになりかねない。

誰一人、頼ることはできぬ。

私に賢明な助言を与えてくれる人はいない。

ただ、万有根心の力を振るい絞って仕事を精進することしか道はないのだ。

私が満足しているのは、好きな絵が出来たときだけである。」

絵が売れてきて、年も取ってくると、もう誰も、何も言ってはくれない。

作品の質を維持・向上させるのは、自分の志気に頼るほかないのである。

そうして、もう一度、ミツコシの展覧会を見る。

テレビの方が、やっぱりよく見える。大阪も巡回するといっていたので、展示されていない絵も混じっているみたいだし、照明暗すぎるんだよなあ。

絵も暗いので、絵のコントラストや、細部がよく見えないんだよね。

まあ、2回ともタダなので仕方がない。

観客のオヤジ共は、「ピカソの絵にソックリだ」と語り合い、アタシは、こっちはマチス、こっちはルオーの絵に似てる。などと思う。

相変わらず、風景に関しては、どこか別の展覧会に一枚とか二枚紛れていたら、彼女の絵だと識別することができないんじゃないかという不安を残したまま帰宅。

今日の午後は、図録を見て、花の絵を描こう。(→ここまで言いつつ、パクルアタシ。爆。支離滅裂)

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