◆◆◆ 286 ★ 芹沢けい介展を見る ◆◆◆

2005.2.14

ヨコハマそごうで見た、芹沢センセイの展覧会。

キモノの安売り展示会とセットだったため、キモノ好きの金持ちオババが大量に流れてくる。

デパートは商売が上手い。

同じ場所に古着キモノの売り場なんかもあって、節操のない世の中になったと思わないわけにはゆかない。

そうして、格調高い作品を拝見しながら3時間程を過ごす。

行ったり来たりしながら、ずいぶんと長いこと眺めていた。

展示品の中の、作品の製作工程や、型紙、下絵などを何度も往復しながら、ある結論が出る。

下絵は下絵で、型紙は型紙である。

それは、下絵を型紙に切り取る作業の中で、似て非なる作品に昇華されるということだ。

型染めといっても、芹沢センセイの作品は、手染めなので、紅型の手法に近い。

多版の型紙をどうやって作ってゆくのかというのも考えながら拝見する。

まず最初に、下絵の、黒いラインの部分の版をつくり、その版を使って和紙などにラインを転写したあと、こんどは、その写した絵に色を重ねて、色版の下絵を完成させ、それを型紙にするという方法だと思われる。

実際、工程のおおまかな写真を数点みただけで、細かい部分を文献などで確認したわけではない。

足りないアタマで、どうやったらこの作品が出来るのかを考えると、その方法しか考えられないのである。

型紙の展示は2点程しかなくて、物足りなかった。

まあ、染物の展覧会で型紙見たい人もそうはいないだろうから仕方がない。

彼の肉筆のスケッチは、やはり筆で描かれていて、アタシのとそれほど差があるということでもない。

アタシも、てぬぐいの下絵や木版画の下絵は筆で描くけど、どうしてもラインの太さが均一ではなくなったり、一部失敗して、紙を貼りなおしたりもしているので、イマイチパっとしないのである。

下絵は筆で描くだけではなく、型紙を自分で作るのか、もしくは、型紙に近い形の絵にして納品しなければならないということだ。

型紙に近い形を絵にして納品するというのは、技術的に難しい。

理由は、筆のラインを、実際にカッターでカットしてフォルムを単調化させるという作業を手で描くのが難しいためである。

作品のコントラストも、手で描くと表現できないが、型紙上で作れれば、もっと自分の意図した完成図に近づくはずなのである。

うーむ。型紙を自分で作るのは難しいよなあ。(推定だが)

しかも、アタシの描いているデザインは、プロでも辛い柄だからなあ。アタシに出来るとも思えないんだよねえ。

・・・・・。はぁ。

しかし、ヨコハマまで足を運んだ甲斐があった。何度描いても、これがてぬぐいになったらどうなるのかというののイメージが沸かなかったからである。

職人さんであれば、下絵に忠実に再現しようと思うかもしれないし、その辺がなんともビミョーなのである。

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