◆◆◆ 224 ★ ハンコ屋のオヤジの話 ◆◆◆

2004.11.9

ハンコ屋のオヤジが見たのはこの絵

額縁屋の次は、ハンコ屋である。

オジサマキラー(自称)ぶり健在。

ハンコ屋は、この夏まで、宿場町通りの公園の近くにあり、ほそぼそと商いを続けていた。

それは、もう小さい頃からそこにあり、それでも、その特殊性から、なかなか入ることのできない店であった。

ハンコ屋は、この夏結婚し、ウチから徒歩1分の場所に越してきた。(お嫁さんの家らしい・・・汗)

驚くべきことだが、あとりえまでの5分の道のりで、ミニスーパーたった一件しかなかった道に、もう一件店がオープンしたということなのである。

5分歩いて店が2件しかない住宅街ということだ。

ハンコ屋のオヤジは、額縁屋や印刷屋よりは若く、昔は絵を描いていたムード。

絵が売れた日に、たまたま通りかかり、『これから額を買いに行って発送する』などというと、『絵を見せろ』などといい、シケシゲとアタシの絵を眺め回していた。

そうして、ハンコ屋も、額縁屋と同じように、『サインがダメだ』などとタメ出しするのであった。

次に郵便局で見たのはこの絵

ハンコ『なんで、こんなにサインが下手なんだよぉ』

アタシ『絵が下手で、サインが上手くかけないのよ』

ハンコ『・・・・』

しかし、ハンコ屋は、そのサインのことを覚えていた。

『郵便局に絵が飾ってあったの見たよ』

そうなのだ。あのサインは、アタシしか使わない。

そんなこんなで、一度見ただけで、彼はアタシのサインを忘れたりしなかった。

アタシ『そうそう。置かせてもらってるの。宣伝になるからねー。近所だし。』

今飾ってあるのはこの絵

オジャラは、個展のポスターなんかを貼って欲しいので、ハンコ屋のオヤジとは仲良くなりたかった。

でも、まあ、ハンコは自分で作るので、どう考えても買ったりはしないのだが・・・・。

それでも、近所なので、彼が店先にいるときにチョロチョロと話をする。

なんでも、銅版画なんかもやっているみたいで驚いた。

ハンコ『どれくらいのプレス機持ってるの?』

アタシ『40*70くらい。結構大きいよ』

ハンコ『でも、習いに行ってるんだから、自分で作ったりはしてないよね?』

アタシ『してるに決まってるじゃない』

ハンコ『腐食液とかどうしてるの?』

アタシ『家にあるよ。』

ハンコ『硝酸?二鉄?』みたいな、専門的な話に進んでゆく。

そうして、ハンコ屋は、思いつめたように、やっとの思いで、『お姉さんいくつなの?』と聞くのであった。たははは。知りたいよなあ。

アタシは、物凄く若く見えるが、話をするとオバサンというのがバレてしまうのよ。

その後、『要らない枠とかいる?』

といって、彼は古いカンバス枠を出してくる。

アタシ『要らないの?何で?』

ハンコ『昔の絵は耐えられなくなって、カッターで切り裂いて捨ててしまったんだよ』

などと言う。

上書きして構わなければ、そのままもらいたいけどなあ。

そうして、12号の枠を2個もらって、アタシはホクホクとして帰ってくる。今度は60号をくれるらしい。

ハンコ屋のオヤジは、銅版を切る巨大カッターを持っていた。

アタシ『今度切りに来てイイ?』

ハンコ屋というのは、額縁屋と同じくらいヒマな職業である。

ハンコ屋は、アタシの絵を一枚置いてくれると言ってくれて、しかも、ポスターも貼らせてくれるらしい。ヨカッタぜ。

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