◆◆◆ 1922 ★ 茶道の話 ◆◆◆

インターネットラジオFM北千住 ときどきゲリラ的に収録・生放送

(あとはいつでも見れますよん)

2013.12.6.

茶道具への執着というのは、マンガの「ひょうげもの(へいげもの)」を読むと理解できてくると思う。

アタシは、テレビアニメで見たんだけどね。

古田織部が主人公。戦国時代を武将として、茶人として生きた男と、それを取り囲む有名茶道具の世界。

特に、織田信長が天下人になった頃の、絢爛豪華な描写や親方様のカリスマ具合は素晴らしかった。

織部曰く、「親方様から拝領した品」

という程の、ワクワク感は、彼の死後は、もう生まれ無かったという感想は正しいと思う。

付加価値を付けたのは、カリスマということになにり、彼が他界した後は、もう、どんなものを見てもワクワクしないのだという、単なる物質に気付き、執着を持てなくなってくるという現実は辛い。

品格のヒの字も感じない造形だわ。汗。

領土や金には限りがある。

珍しい茶道具も、領土と同等の価値のある褒美として部下に与えることで、茶の世界は、急速に価値とともに広がって行く。

特に、信長は、武将の格付けに茶を点ててもヨイというような資格制度のような方法も取っていて、殿様の許可がなければ、茶を点ててはいけないというような付加価値のつけかたも興味深い。

本質から離れ、物欲に流されるというのは、人間の常。煩悩があればこそ。

それまで無価値だった高麗茶碗が、領土と等価の褒美として、武人が喜んでもらうのだとすれば、渡す方もウハウハである。

領土より茶道具が欲しいという流れを作れたのは、信長だったからだとも思えてくる。

ある意味、意図し、利休と共謀したってことだって十分に考えられる。

ひょうげものの番組の最後には、中島誠之助先生が、名器を訪ねてあるくというミニコーナーもあり、こちらも楽しかった。

信長、秀吉と引き継がれた茄子型の茶入れ。

家康が秀吉に勝ち、天下を取った時に、火災で大破した破片を継ぎ合わせ、今も徳永家の家宝となっている器の愛されようというのもスゴイと思わされた。

そういう、スケールのデカイ物語が、その茶道具の価値ということになる。

ただ金を持つだけの者は、そのストーリーを金で買うということになる。

自分でストーリーを作り上げられる人は少ない。

当然に利休を中心に、当時の茶人も大量に出てくる。中でも、「へちかん」という茶人は共感が持てた。

物凄い貧乏。正確に表現すれば、持ち物を必要としない生活ということになる。

ボロボロの庵に棲み、簡素空間(ワビの中)で茶を点てる茶人だった。

茶道具の蘊蓄も、値段も、見栄も自慢もない世界である。

秀吉が開いた、誰でもが開ける大茶会という催しでは、赤い傘を一本立て、ムシロを敷き、小さな炉で茶を点てるという趣向。

これが茶道の本質だと思わされた。

へちかん様が他界されたとき、利休は「私はこれから、誰を師とすれば良いのだ?」

と悲しみを語っていた。

その道が長くなればなるほど、教えてくれる人はいなくなる。

他に触れ、自らが学びとる力が無いと、伸び代もない。

この茶碗、どうしたんだっけな。

売れたのかな?

まあ、茶を点てるという話は、会の本質ではない。

本来であれば、(へいげものによれば)

もっと緊迫した話(隣の武将をいつ攻めるかなど)も、膝を詰めより、狭い茶室の密室で戦国時代にされたという実態は理解できる。

二畳の空間というのは、大人二人が、かなりの近距離に近寄らなければならない。

そういう、強制的な距離感を作り上げ、テリトリーのバリアを簡単に突破、心を短時間に開かせるという工夫だったのではないかとさえ思えてくる。

現代の、虚構と虚栄の中にある茶道とは、全く異なる機能や目的だったということだ。

茶道を習いに行った知人が、初日は、一日中ふくさのたたみ方を練習させられたと言い、出来ない人は入門できないのだと聞かされたときに、アタシは、とある流派の華道の話を思い出した。

まず、生徒に活けさせる。

一旦完成したその生け花を、先生は、全部抜き取り、活け直す。という流派のことである。

展覧会は、しかも、同じ花器に、同じ花を、全く同じに活けるという協調主義。

アタシは、他人の教室を否定するつもりはないが、自分の美意識や自尊心とは違う場所にあると思い、行くことはなかった。

フクサの話も同じ話。

精一杯のおもてなしが、何故袱紗のたたみ方になるのかは、教える者の解釈の違いということになる。

常識が違いすぎて、コメントのしようもない。

アタシは、袱紗は持ってないけど、何人もの、抹茶を飲んだことの無い客人に、茶を点ててきた。

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