◆◆◆ 1806 ★ 久しぶりの油彩-2 ◆◆◆

インターネットラジオFM北千住 ときどきゲリラ的に収録・生放送(あとはいつでも見れますよん)

2013.6.28.

昼過ぎに、絵画教室の帰りだといって、すみれちゃんが訪ねてくる。

どうせ用があるわけでもないので、私は絵を描くことにする。

そうして、第一回目の絵具を薄く塗ってあった「ト」の字の肖像に、色を重ねてゆく。

すみれちゃんは、安価な住区センターなどのセンセイに長らく絵を習っていたこともあって、その先生の言うとおりに作品を作る。

たとえば、下塗りは、違う色で三回塗るだとか、黒は、何色かの絵具を混ぜて、深い黒を作るだとか、そういう、ありがちな技法である。

アタシは、ルノアールの描画に傾倒しているということもあり、基本、下塗りは、シルバーホワイトの二度塗り。

乾燥したら、人物の場合には、肌の部分だけは、白くゆるい絵具を塗るけど、あとは、そのまま、絵具を乗せてゆく感じ。

しかも、黒は使わない。

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

すみれちゃんは、アタシが塗る、絵具の色がとてもキレイなので、何色なのかを、メモ用紙に書きとめてゆく。

ブライトレッド、少しクリムソンレーキ、とかね。

絵具は、もともと多少の透明度がある場合が多く、半透明ということもある。

ので、下地が白だと、絵具の色がそのまま反映されるのだが、下塗りをしたりすると違う色がでできてしまうのだ。

オジャラ「基本的な素描の力を上げないと、下塗りを何度しても、絵は上手くならないよ。」

すみれ、質問には答えず、「その緑はなんという色だ?」

というやりとり。

すみれ「おじゃらさんは、絵を描く時、何も見ないってスゴイよね。」

オジャラ「画家は、何かを見て絵を描いたりしないよ」

すみれ「・・・・・」

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

すみれ「随分、大きい絵具を使うんですね」

オジャラ「画家は、みんな、この大きさの絵具を使うよ。たくさん描くからね。」

すみれちゃんは、さっき教室で描いたという絵を見せてくれる。

オジャラ「なんか、こっちの絵は、ゴッホ風ね。でも、こっちの下手な薔薇よりは、マシかしらね。」

そういうと、

すみれ「ゴッホじゃないよ」

一時間程して、アタシは、ハっとした。アタシの薔薇の真似をしたのね。きっと。あは。

それに気づくと、「アタシの、絵みたいな線は、なかなか引けないのよね。」

と言い、猫にステッチを入れていく。

そうして、すみれちゃんは、一生懸命、アタシが、どのように描いているのかを盗もうとするのだが、たとえば、描いているところを見たとしても、同じように作れたりはしないということをアタシは知っている。

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

オジャラ「細い線を入れると、絵が引き締まるでしょ。ところどころ失敗してもね、まあ、それも構わないのよ。細かいところは気にしないで、全体的な部分で見るの。」

すみれ「アタシは、細かい所が気になっちゃって、どうしても何度も塗りなおしちゃう。乾燥するまで3日は待たないと」

オジャラ「基本的な筆運びの力が低いから、何度も書き直さなきゃならないんだよ。シッカリと筆運びの練習をすれば、思ったところに線が引けるようになるからさ、失敗しなくなるんだよ」

といっても、高齢だからね。描画の力が落ちてしまうのは仕方がない。昔は、透明感のあ、毅然とした、表現したいものがあるという絵だったけどね。それは仕方がない。

それでも、一人で生きなければならない彼女の人生に、絵画創作というページがあったことが素晴らしいと思う。

ワタリウム美術館3/23撮影のおじゃらの巨大ポートレート

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