◆◆◆ 080 ★ 習字の練習・画集を見た話 ◆◆◆

2004.2.20

額縁屋のオヤジが訪ねてくる。

今日は、SMサイズの小さいカンバスをお土産に持ってきた。彼は、ヒマなときに、アタシがまじめに芸術活動をしているのか、点検に来るのである。

アタシが書の練習をしている所に来たので、

『何でこんなの書いているんだよ?』

などと聞いてくる。

そんでもって、「『あいだみつお』に対抗して、携帯電話の画像にするためだ」(真顔)と答えると、オヤジは爆笑する。

額縁屋のオヤジは、あいだみつを美術館に、品物を卸しており、大分稼がせてもらったという話になる。

満杯。

最近は、不景気で、なかなか、ミュージアムグッズも売れなくなったなどと、今度は愚痴になる。

売れ続けるものなどない。しかも、複製画だぜ。

ご本人は、もう他界されているのだから、新しい作品というのは期待できないのである。

それは何を意味しているのかといえば、新しいものが生み出せないということに他ならず、個人の美術館というのは大変だなと思わされる。賃貸らしいしなぁ。

そんでもって、アタシの乾燥中の棚に行き、作品を勝手に引っ張り出して、絵の具を指につけてしまう。

『まだ乾いてないじゃないか?』

おいおいっ。だから、乾燥させてんだっちゅーの。

ったく。気をつけてよねっ。

ゲージツ品なんだからさっ。

そんでもって、棚の上に大量にある黒と白の作品は、物凄い短い時間で完成する話をしたら、『色を塗ったほうがいいぜ』などといいだし、折角完成した作品をぶち壊しにしてしまう。

はぁ。

ホントウに美術品を売っているとは思えないぜ。

確かに、色を塗るほうが、時間をかけて作品作りができていいとは思う。

ウチに来てもヒマなままのオヤジは、今度は、梅原龍三郎の画集を勝手に取り出して、『梅原龍三郎の複製画はよく売れた』

『オレは薔薇が一番好きだ』

などと、もっともらしい話を始める。ヒマ人め。

あれだよなぁ。額縁屋というのは、とりあえず、客が少なそうだもんなあ。

オジャラは、先日買った、古本屋価格300円の画集というのを取り出して、オヤジに見せる。

『錦芳集』と書かれたその画集は、見るからに高そうだった。

アタシには、作者というのはあまり重要じゃなく、『こんなに立派な作品集を出せる方は、きっと有名に違いない』などと思い、中をパラパラと開いてみる、伸びやかな日本がの作品が並んでいる。(フツー、作家の名前って、本の表紙とかに書いてあるんだけどね。この本は、書いてないのよ。)

『これは、買いだわぁ』と思い、作品を見ただけで、買ってしまって、見ずにいた画集だった。

その画集を広げると、画集は『皇后様』の描かれた日本画の作品集だった。

なるほど。こんなに有名な人もそう多くない。

昭和44年発行で5000円などと書かれている。

画集のために、作品を貸し出されて、その収益の全額は、赤十字に寄付されたのだという。へぇー。

この画集、マニアに売れるぜ。(売りません)

それにしたって、なんて伸びやかな、自由な作品なんだろう。

皇后様のおおらかなお人柄を写したような作品集で、絵というのは、人を助けるなと思わされた。

私は、なかなか、自由な線を手に入れられないでいる。

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