◆◆◆ 028★続・黒ニスの話 まだ続くんっすか? ◆◆◆

2003.9.9

オジャラは、再び、100円ショップに足を運ぶ。

北千住には、100円ショップは4件もある。

一日では回りきることができないのである。

100円ショップの品揃えは、店ごとに特徴があり、個性があるところが、また面白い。

オジャラが探していたのは、ケチャップやカラシなどを入れる、プラスチックで先が細長い容器。

あいにく、あれほど頑丈なのは売っていなかったが、化粧用具コーナーに、似た形の品物が売っていた。

これで試してみよう。

プラスチック樹脂の容器は、小さくて手ごろなのだが、これにニスを詰める作業が大変なことが解ったからだ。

先が細長いと、ニスを小さい容器に詰めるのも楽だし、少しずつしぼりだして、筆先につけながら作業ができるからである。

このほかに、ネイルアート用の、先が特別に細くて、コシのあるブラシも買ってくる。

筆の部分から棒を切り離し、マニキュアのプラスチックの筆の部分に装着するのである。

マニキュアに、はじめからついているプラスチックのブラシでは、液がタップリと取れすぎて、細かい部分に対応できない。

彼女達は、驚くほど細かい絵を、爪の中に描いているのである。特別な道具が充実しているのは当たり前とも思えてくる。マニキュアと黒ニスは、とても似ている商品なので、使えないこともないだろうと、アタシは考えたのだ。冴えているぜ。

オジャラは、その他にもイロイロと試したりして、黒ニスのために、なんと、840円も投資してしまう。

芸術への道というのは、金がかかるのね。

まあいいわ。これで、ベタベタにもならず、毎回筆を洗う作業からも開放されるのだ。

かなり細かい部分にもニスを塗れるように改善されてきた。

これで、次回のお教室では、少し威張れるわぁ。

オジャラよ。小道具で威張ってないで、作品で威張れるようになれよ。たはははは。

9.14

そんなこんなで、注文の銅版画も、ボチボチと仕上がってくるのだが、思うようには完成しない。

正確には、自分ではこの程度と思っているのだが、実は、マダマダという箇所が明確になってくる。

瑛九の銅版画なんて買うんじゃなかったよ。

彼の作品の下で、アタシの作品が乾くのを待っているのだが、あまりにも差があるので、ガッカリしてしまうのだ。

先達の作品と自分の作品との差に気づく能力に感謝しよう。差が解っているのであれば、差を縮めることはカンタンだ。

ウチの銅版画のセンセイの作品ときたら、ゼッタイに届かない所にあるからなあ。差を縮めようとも思わないもの。

9.15

このネコは、時々、ウチのブロック塀の上に居座り、アタシが、ちゃんと絵を描いているか、監視に来る。

どーです。このコントラスト。

キミは、銅版画向きねえ。

彼が、銅版画になる日は近い。

それにしたって、ニャン相、悪すぎ。
苦労してるのねぇ。

注文の銅版画は四種類。記念品なので、各版に、20THの文字を入れることになっているのだが、最初の版では、文字は、ことごとく潰れてしまっていた。

おいおい。

どうしようか悩むが、もう一度、全部をつくり直すことにする。

他の文字がちゃんと作れているのだから、この文字も作れるに決まっている。

もし、作れないのだとしたら、作家の怠慢に他ならない。

折角、必要とも思えない仕事をムリに探して、アタシに作品の注文をしてくれたんだから、今出来る、精一杯の作品にするのが、仕事を受ける側の姿勢だろう。

そんなこんなで、一度作った作品の裏を磨いたり、

作り損じた作品の線をつぶして、磨きなおしたりして、何時間も過ぎてしまうのであった。

御茶ノ水まで、銅板買いに行った方が、早かったかもなあ。

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