◆◆◆ 色版を木版で作る ◆◆◆2006.8.1作成 /8.2記
文房堂の銅板画教室で、今日は、いつもの作田センセイに変わり、
水谷先生が講師に来られました。
銅板画の色の部分に、木版の色版を併用される作家先生で、
その秘策を伝授していただきました。
色版と、重版(線となる版)を組み合わせるときに、最も大切になることは、
色と線が、ズレないで刷れるという所です。
これをどうやって印刷しているのかが解れば、あとは、自由に作ることができるようになると思います。
このページをヒントに、色版の合わせ方をマスターしましょう。
版画に色がつくと、本当に作品が良く見えますので、是非、チャレンジしてみてください。
|
まず、普通に銅板画(重版)を作ります。 これを、紙に印刷します。 ここまでは、いつも通りのやり方です。 インクが乾かないうちに、次の工程に進みます。 |
|
これを、木の版木に転写します。 センセイは、馬簾を使うとおっしゃってましたが、私は、バレンを持ち合わせていなかったので、プレス機で圧をかけて転写しました。 (もう掘ってしまった写真しかなくて、申し訳ないっす。) 紙に印刷→それを木版に転写 という工程により、版が反転し、それに色版を作ればよいということになります。 ここで最も重要なことは、版木に、「銅版の位置」、「引き付け」と「見当」と呼ばれる、紙の置き位置の目印をつけることです。 |
|
紙は、重版から4センチずつ外側に広がります。 (ま、5センチでも、7センチでもいいんですよ。ご予算と、木の版の大きさなども勘案して相談してみてください。アタシの場合、低予算なので、紙の大きさは、版から上下4センチ程度広がったサイズにしたということです。) 紙は、角が一箇所と、辺を一箇所確定することで、版と印刷位置がずれないのです。 ですから、左の図を参考に、版木、重版を置き、更に、4センチ離れた所に、紙の位置を引きます。 そうして、そこに、見当と引き付けを、写真のように掘り出します。 結構深くさらう(彫る)のがコツです。 版の反対側(左下)は1センチ程度残すだけで構わないです。 |
|
銅の重版を印刷するときに使うアタリ用の、道具もここで作ります。
プラスチックの板(薄い奴、OHPシートでも可)、 に、油性のマジックで、銅版の位置を枠取りし、 そこから4センチづつ外に、紙の位置をつけます。 また、銅版の向き、見当、引き付けの位置も描きこんでおきます。 印刷するときには、黄色い部分に銅版を置き、向きを確認し、外側の紙の位置に合わせて紙を置くということになります。 木版の見当の位置と、この、プラスチックの板の紙の位置がピッタリと合えば、印刷は、バッチリということになります。 |
|
紙の準備。
紙は、和紙を使います。 厚いほうがいいらしいです。 和紙は、水の中に漬けておくと、溶けてしまいますので、 銅板画であっても、木版画のような湿し方をします。 まず、ビニール袋と霧吹きを用意します。 ビニール袋の中で、紙に霧吹きをかけます。 ムラ無くかけなければなりませんが、かけすぎると失敗します。 この辺は、試行錯誤してみてください。 とりあえず、このように、ビニールのフタをして、平らな板などに挟んで、2時間くらい湿しておきましょう。 |
色はこんな感じで考えて彫りました。 いやぁ、1回のレッスンで技法を習得しようと、必死に作ったので疲れました。 プレートマーク部分の彫りは、もう少し深くすると、版から色がはみ出ないというアドヴァイスを頂きました。 絵の具は、色の数だけ筆を用意し、ポン・ポンと置いてゆくような感じにします。 |
次に何処に、何色を塗るのかというだいたいの案を考えます。
この作品は、ニキッドサンファルを見に行った記念に作ったパクリ作品ですので、似たような色にしようと計画します。 買うと高いですからねぇ。 この程度の作品なら、自分で作っちゃいます。 飾っておくと、ニキのことは十分に思い出せますし、もっと、自由な作品作りをしようという勇気も沸いてきますから。 版には、銅板画のお教室で話題になっていた、小さい会話を書き込みました。 色は、一版多色刷りという方法を採用します。 色と色には、5ミリ程度の境目を作り、色が混ざらないようにするだけで、何色でも使えます。 試し刷りはこんな感じ。 絵の具の量や、粘度、紙の湿り具合で、刷り上りは変化します。 もう、ここは、木版画の域なので、詳しいことは、木版専門サイトで研究してみてください。 |
完成図は、こんな色の配置になると思われます。 インクの色を変えても面白い作品になることでしょう。 |
一回刷ってみて、ちと色味のバランスが悪いなと思い、少し色を変えてみました。
色が隣り合っている時には、混ざっても汚くならない色を配置するのがポイントです。 「刷りのポイント」 ●刷りは、和紙にする。 ●色版を先に印刷し、次に、重版を印刷する。 ●色版の印刷は、木版画と全く同じように引きつけと見当に紙を合わせて、バレンで刷りを行う。 ●重版を印刷するときには、プラスチックのシートを乗せ、その上に、銅版を乗せる。 ●プラスチックシートの紙の位置にあわせて紙を置き、プレス機で印刷する。 というような感じです。 ●色版の水彩絵の具には、ノリを混ぜましょう。 ●最初の何枚かは、木が乾燥しているので、色がうまく乗りません。 ●色は、隣と混じらないように、乾燥しすぎないように、丁寧に、素早く塗ります。キリフキも途中で使って乾燥を抑えます。 |
●印刷後のお手入れ
●紙が余ったときには、紙は、乾燥させておきましょう。カビが生えてしまいます。 ●木版は良く洗い、乾燥させましょう。 銅版と、色版、プラスチックのシートはセットで保管するというのをオススメします。笑。 迷子になると、一生出会えません。 版画なので、同じ色の作品が作れるように、刷り見本なども一緒に入れておくのが正しいです。 |
ま、あとの話は、各自、自分で考えて、自由に作ってみてください。
とりあえず、最初の色版と、重版の位置がずれないために、ちょっとした道具を使うということ、どう使うのかというのを書いておきます。 ご参考になる方もいらっしゃると思います。 版画というのは、本当に自由なものであり、楽しい作品をどんどんと作りましょう。 |