◆◆◆ アクアチントに挑戦しよう ◆◆◆

エッチングの事、理解できましたか?

エッチングは、面を作るのに向いていません。

ニードルで面を作りたい所のグランドを全部はがして、腐食してみると理解できます。

銅板は、中央部分が深く腐食されてしまい、面にならないのです。

黒い面を作ってみたい方は、この技法『アクアチント』を覚えましょう。

用意するもの。

●マツヤニ

●マツヤニを磨り潰す容器(茶碗などでよい)

●小さいすりこぎ棒

●ガーゼのような、目の粗い布

●アクアチントの布を収納する瓶

●空き缶2個

●ろうそくとライター

●アルコール

●ボロ布

まず、マツヤニを茶碗で、粉々にします。

それはもう、細かければ細かいほどいいです。

シツコク粉にしましょう。

そうして、粉を、二重にしたガーゼなどに包みます。

テルテル坊主みたいにして、マツヤニを包みます。

量は、大匙一杯程度で構わないです。

もっと多くてもいいです。

この、布に包んだマツヤニの粉を、銅板に振り掛けます。

どの位振り掛けるのかといえば、銅板の上が真っ白になる位に振り掛けます。

その後、下から熱を加えて、松脂を銅板の上で溶かして定着させます。

マツヤニの粉は、とても軽いので、銅板を動かすと、吹き飛んでしまいます。

ですから、段取りとしては、

空き缶2個を並べ、その上に、銅板を置き、

ロウソクとライターを用意しておきます。

この状態で、マツヤニを大量に振り掛けます。

アタシは、外でやってます。

理由っすか?

マツヤニは部屋の中に飛び散りやすいし、

ベタベタするし、粉っぽいし、

掃除するのが大変だからです。

銅板が、真っ白になるくらい、降りかけます。

マツヤニはそのままそっとしておき、ロウソクで火をつけて、下から銅板を温めます。

ロウソクは手に持ち、ロウソクを銅板の下で移動させながら、手早く、マツヤニを溶かします。

銅板が熱せられてくると、マツヤニの色が、サっと変わりますので、すぐに、加熱をストップします。

今、こういう状態です。熱したので、銅板に、マツヤニの粉が、定着しています。

銅板にマツヤニが定着したら、腐食液に漬けます。

そうすると、マツヤニの部分以外の所が腐食されます。

マツヤニを、アルコールで除去します。

マツヤニは、灯油では落とせません。

アルコールで、表面のザラザラをしっかりと取り除きます。

完全に除去すると、細かい点状の溝が広がります。印刷すると、これが、面になるということです。

これは、銅板に、セロテープを貼り付けて、アクアチントした作品です。

セロテープを貼っているところは、腐食されませんから、白く抜き出ます。

アクアチントした部分に、なんかムラがありますよね。

これは、マツヤニの量を、変えているのです。

沢山振りかけたところはグレーに、少しだけ振りかけたところは、マックロになっています。

そうなんです。マツヤニの量や、腐食時間で、色は、グレーになったり、黒くなったりします。

拡大すると、こんな感じです。

セロテープのギザギザまで、クッキリと残っています。

上の方が少し黒くて、下が白い感じっす。

これは、わざと、そうやったんです。(当たり前ですが・・・)

ですから、一番初めは、小さい銅板などを利用して、アクアチントのテストをしましょう。

どの位の細かいマツヤニを、どの位振りかけて、30分腐食すると、どれくらい黒くなるのか。

マックロにしたい場合には、細かいのを振りかけて、少し長めに腐食します。

グレーにしたいときには、5分とか、10分とか、そんなのでもいいです。

そうやって、データーを積み重ねないと、自分の面というのは完成しないです。

こちらの作品は、上のように描画して、エッジングしています。

その後、もうちょっと、黒い面があるほうが、ボディが引き立つと考え、アクアチントしてみました。

泡の部分も、残したかったので、

ボディの部分と泡の部分を、黒ニスを塗って被います。腐食されないようにするためです。

残りの部分にマツヤニをかけて、(というよりも、全体にマツヤニをかけて、熱で定着させたあと腐食します。)

どうですか?

背景、マックロになってました。

ウレシイっす。

一時間位、腐食したかもしれないっす。

マツヤニは、大量に入った袋で、確か300円とかでしたんで、どうぞ、試してみてください。

作品の幅がぐっと広がって、お値段も高そうに見えますって。たはははは。

このネコちゃんの背景も、アクアチントしています。

ネコそのものは、ルーレットで描いています。

夜にしたかったんで、背景を暗くしてみました。

一晩腐食させちゃったんで、版がボロボロになってしまいましたけど・・・。

ま、イロイロ試してみるのが一番ですよね。

一回で、上手くやろうなんて、ムリですよ。

アタシだって、もう、70枚近く作っているんです。

それ位作って、やっと見れるようになってきたってことっす。

銅版画、独学の道は、習いに行くよりも、ずっと大変です。どうぞ、頑張って。

次は、プレートマークを、キチンと作るのに挑戦します。作品の格がぐっと上がります。