◆◆◆ 銅版画の刷り ◆◆◆

プレス機にフェルトを置いて、圧を強くします。

圧のネジを、最後まで巻いたら、45度から90度程度、緩む方向に戻します。

あとは、お好みで。

まず、プレス機に、フェルトを置いて、圧を強くしたら、次に、下準備をします。

オジャラは、印刷する紙のサイズの紙を準備します。

そこの中央に、銅板を置き、色鉛筆で、銅板の輪郭をなぞり、アタリをつけます。

その紙を一番下に敷き、上に、プラスチックのフィルム(OHP用紙のようなもので構わない)を置いておきます。

こうすると、銅板の裏に、インクがついていたりしても、プレス機が汚れないのです。

また、下の台紙は、印刷する紙のサイズに切ってありますので、中央のアタリに版を置き、用紙の角に、刷る紙をあわせると、自動的に中央に配置されて印刷できるということです。

便利っす。

水につけた紙を取り出します。

最低十分。できれば、一晩つけておきます。

一晩つけると、水の中は、紙のノリがはがれてきて、ヌルヌルになっていますので、水を取り替えて、一枚一枚、丁寧に洗って、また水に漬けておきます。

冬は寒いです。

右側には、半紙や、安い水彩画用紙などを何枚も重ねた、吸い取り紙を準備しています。

一番上には、お菓子の包み紙を置いています。

ここでは、ぬらした紙の、余分な水分を取るのが目的なのです。

ビチャビチャした部分が紙に残っていると、インクが跳ねて、そこだけ、上手く刷れない場合があるので、アタシは、バレンを使って、水分をシッカリと取り除いてから刷るようにしています。

一番上の包装紙は、バレンのスベリをよくするために置いているのです。

吸い取り紙の間に、水に濡れた紙を挟み、バレンで、水分を拭き取って、プレス機の版の上に乗せます。

この時点では、まだ、紙にインクはついていないですから、多少の位置変更は可能です。

でも、アタリや、紙の角の位置が決まっていると、失敗は、最小限に減らせます。

版の上に、水分を拭き取った紙を乗せ、フェルトを乗せ、プレスで圧をかけてみます。

ゆっくり、同じ速度でプレス機を回すのがコツです。

途中で止まると、印刷が失敗します。

気をつけましょう。

インクがきちんと紙に乗るように、ゆっくりと、版から紙をはがしてゆきます。

このとき、指先がインクで汚れていたりすると、作品を汚してしまいます。

印刷を汚さないように、細心の注意を払いましょう。

おおっ。

よーっく見ると、ところどころに、シミができていますよね。

これは、腐食のときにできた版の傷を、バニッシャーという道具で、こすって、消した所なんです。

ここが、全部シミになっています。

バニッシャーの使い方が雑だったのです。

このままでは折角の美人が台無しです。

2000番の耐水ペーパーを使って、磨きこみ、バニッシャーで傷を全部取り去ります。

プレートマークの周囲にも、少し傷がでてしまいました。(セロテープで貼った所みたいです。ニス留めしなかったからです。手を抜くと、必ずこうなります。銅板は正直なんです。)

アタシは、この傷を、一個一個取り去らなければなりません。

抽象画などの作品によっては、こういった、細かい作業は、必要ない場合もありますよね。

アナタがどんな線を目指すのかにかかっています。

近くに寄って、刷り上った作品を凝視してみます。おおっ。インクがちゃんと詰まっていないじゃないですか。印刷に失敗しているのです。下の、黄色い部分は、インクのかすれです。

縦横、ナナメ、十文字をしないと、こうなります。

一生懸命、何度も何度もインクをつめなければなりません。銅版画の刷りは、ホントウに難しいのです。

ちなみに、もう一枚の作品。

こちらは、コピートナーで描いた抽象画(習作)です。

こちらの刷りは、かなり、インクを拭き残しています。

どんな柄で、どんな風に刷るのか。

ここまでが、アナタの作品の個性ということのなるのです。

オジャラは、印刷すると、目で見ても盛り上がりが見えるような、深くて強い線を目指しています。

その線は、美しく引かれていなければなりません。目指している作品の完成は、あと少しのところまで来ていると感じています。

もう一枚の作品。

一回の腐食で、ここまで線を作るのには、何度も何度もテストを重ねています。

この作品は、弱くなってきた腐食液に7時間漬けています。

版全体のコントラストにも、最近は気を配れるようになってきました。

スカートの輪郭線は、一部欠落してしまいました。

刷りで欠落したのではなく、腐食の段階で、腐食されていなかったのです。

どういうことかといえば、グランドに、線がしっかりとついていなかったということです。

一度つけた線を、ニードルでもう一度描きなおすと、線がめくれて、そこだけ、ボヤボヤとした線になってしまうので、どうするか考えています。

このままでもいいような気がしますし、背景を少しグレーにしようかとも考えています。

やりすぎない方が、版のためにはいいような気がしますけどね。

どこで作品を完成にするのかというのも、作家さんの才能らしいです。

芸術家というのは、考えることが沢山あるんっすね。

次は、一旦、作業を終了する方法についてまとめてみました。