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002●絵の価値って何処で決まるの?
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前回ご紹介したアートの種類ですけど、何が違うか解りますか?
値段が違うのです。
同じ一点モノであっても、制作された画材ごとに、値段が違うということです。
販売者が何処に価値を見出しているのかといえば、それは、作品の耐久性です。
画材によって、『持ち』が違うのです。
どのぐらい違うのかといえば、『500年』持つモノもあれば、『5年』という作品もあるということなのです。
例えば、バッグの場合だって、買うときに考えるでしょう。
●本皮にするか
●エンビにするか
●パラシュートにするか
それは、『●●年も使いたい』とか、『軽いほうがいい』とか、『やっぱ、ホンモノを持ちたい』
とか、そういうい様々な理由で、選択されるのです。
であるからして、絵画の場合にも、『耐久面』から価格が決定されているということがある。
と考えてみてください。
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何年位持つんでしょう。
それを考えるのには、何に描かれているのかを思い出すのが一番です。
●劣化がどのように進捗するのか(紙や画材の色あせ・ひび割れ、欠落)
●修復が出来るのか?
要するに、現在のコンディションを何年位保てるのかと、修復の可否により、
存続できる期間が変化してくるということです。
◆ 一点モノ作品 ◆ |
一般的に何に描かれているのか |
◆ 油絵 |
麻カンバス |
◆ アクリル | アクリルボード・カンバス |
◆ クレヨン (水性・油性) |
紙 |
◆ 日本画 | 和紙 |
◆ 水彩(透明水彩・グワッシュ、ポスターカラー) |
水彩紙 |
◆ ペン画 |
イロイロな紙 |
◆ テンペラ画 | 壁 |
◆ フラスコ画 | 壁・ガラス |
◆ コンテ | 紙 |
◆ エンピツデッサン | クロッキー用紙(薄い紙) |
◆ パステル | パステル紙 |
最近注目されているのは、アクリル絵の具ですね。
画面は、油絵と同じくらい頑丈だと考えられています。
しかし、まだ、発売されてから何年かしか経っておらず、100年後がどうなのかは、誰にも解りません。
アクリル画の作品の評価というのは、もっと先になるんじゃないかと思います。
テンペラ画というのは、500年位前に壁画などに利用された画材です。
最近でも作っている人はいるみたいです。
油絵の方が手軽で頑丈な画面を作れるので、テンペラ画の人口が少ないと考えてください。
補修などは、出来ます。
よーするに、手がかかるってことで、作る人が減ってしまった画材です。
手がかかるので、お値段も油絵とか、それ以上ってこともあると思います。
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日本画は、油絵ほど頑丈ではありません。
しかも、和紙に描かれています。和紙は、空気を密閉できる桐の箱などに収納しなければ、
必ず劣化します。
出しっぱなしなどは、厳禁です。一年に1日程度出しましょう。
ですから、常時展示するというのに適していないということになります。
それでも、保存をきちんとすれば、何百年でも保存は可能です。
価値はどうなのかといえば、古くて保存が良い、優れた作品は、物凄く高いということになります。
日本画は、日本の伝統的な絵画技法であり、マーケットがきちんと存在しています。
ただ、誰の絵でも高値だということではありません。
その辺、注意しなければなりません。
日本家屋には、よくマッチする作品が多いです。
アタシ的には、掛け軸ではなくて、インテリアとして展示するのであれば、額装しますね。間違いなく。
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紙に描かれた作品というのはどうなのかという話になります。
ここで、一番重要なのは、『紙は必ず劣化する』ということです。
額に入れて常時展示した場合、必ず劣化します。
ただし、劣化しにくい紙も存在するということです。永久ということではありません。
それは、中性紙と呼ばれ、水彩紙なども、お高いのは、中性紙です。
フツーの紙とどう違うのかというと、中性なのです。
ですから、紙の中で、最も酸化しにくい状態を長期に保てる紙だと覚えてください。
紙の大敵は、『酸化』なのです。
紙を中性に漉きあげることで、酸化しにくい構造になっているということらしいです。
そういう紙に描いているので、劣化しずらい。だから、絵画としての価値が高い。
だからお値段も高くてもいい。という構造です。
ですから、お高い水彩画は、どんな紙に描かれているのかというのも併記してある場合が多いです。
もしくは、ピカソとか、マチスなんかは、そういう紙を好んで利用して、後世まで残る作品を作り続けたという実績もあるみたいです。
(中にはそうでないものあると思いますけど、そういうのは、焼けたり、色あせたり、千切れたり、ムシに食われたりしています。)
買う側にしてみれば、●●●万円も出すのですから、その作品が、あと200年くらい持って欲しいと思ったりしているわけです。
どちらにしたって、紙に描かれた作品の中でも、『水彩紙・版画紙』など、ヨーロッパの
有名メーカーの紙を使った作品は、耐久性が高いので、お値段も高い。
と覚えましょう。
◆ 版画作品 ◆ |
|
◆ 銅版画 |
アルシュ・ハーネミューレなどの版画紙の場合が多い。比較的、どんな紙にも印刷できる。
印刷されたインクは、長期に色あせしない。 |
◆ シルクスクリーン版画 | やったことないので、よく解らないです。
湿気にものすごく弱いらしい。 紙も、どんな紙に印刷されているのかによるけど、酸化すると思う。 |
◆ 木版画 |
和紙に印刷されることが多い。
アタシは、結構何にでも印刷するかな。 |
◆ 小口木版画 |
やっぱ、和紙かな? 油性インクの場合、版画紙ということもあると思います。 基本的には、繊細な凹凸を刷り上げるため、雁皮という薄い和紙が使われるのが普通です。 |
◆ リノニウム |
凸盤専用の紙というのがあるらしいです。 和紙でも、薄い紙なんかにも印刷できます。 |
◆ リトグラフ(石版画) |
平版専用の紙というのがあるらしいです。 |
ま、最近はこんなのが主流です。
油絵というのは、頑丈な画面を持っています。ですから、保存の状態がよければ、
何年でも鑑賞に絶えられると考えましょう。
保存の状態が悪くても、(ひび割れ・欠落などが合った場合でも)修復ができると考えます。
初心者の方は、『油絵は、絵画の中で、最も頑丈な画面を持っている』と理解してください。
アタシも、専門が美術というワケではありませんので、知っている範囲で書いています。
間違っていたら、どうかお知らせ下さい。
でもまあ、そう考えると、それとの比較をすることで、安易に全体が理解できます。
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次に、『油絵』と比較して、他の画材はどうなのかを考えます。
◆印刷物◆
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◆オフセット印刷 | 市販のアートポスターなんかは、結構厚めでも、そんな高い紙に印刷されていないと思います。
2000円位で販売されているポスターでも、10年額に入れて飾っていると、シミが出来ています。 |
◆ダイヤモンドスクリーニング | どうなんっすかね?
新しい技術ですし、アート専用に開発されていますし、お値段も、2-3万円しますからねえ。 でも、この程度のお値段だと、フツーの紙って可能性高いですね。 よくよく考えれば、中性紙に刷っているだろうと類推できます。劣化が少ないですから。 2-3万円のアートを、何十年も飾ったりしないってことです。ある程度劣化してくれば、お客様は、また、新しいの買ってくれますからね。 生産者じゃないので、詳しいことは解りませんが、取り扱っている画廊の人も、こんなに深い話は知らないと思います。 そんなもんで、聞いても解らないという答えが返ってくるでしょう。 逆に、中性紙に印刷しているのであれば、その旨表示してある可能性が高いです。 印刷物に、そこまでしないという感じっすね。 そこまで求めるのであれば、ホンモノを買えということです。 |
◆インクジェットプリンタ利用 | 最近、大分耐久性上がってきましたけどね。
実のところ解らないですよね。 油絵と、インクジェットのプリンタの絵画が同じ値段で売られていたら、アタシなら、油絵買いますけどね。 今のところ、設備投資額を回収出来ていないので、この筋のアートのお値段は、結構高めに設定されているという気がしてならないです。 しかも、5年程度で退色してしまうらしいですからね。 たとえば、100万円の油絵の10分の1で、10万円ですといわれたって、アタシなら買いません。 10万円で買える、版画や、油絵を狙うということです。 でもまあ、気に入った作品があって、2万円です言われれば考えますね。そういうビミョーな筋のシナモノです。 昨今の印刷技術や塗料・定着剤の進化を勘案すれば、要チェックな分野であることは間違いありません。 |
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